駐停車禁止

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「道路は通行のためにある。停めるなら駐車場に!」

日本では、テレビやラジオに新聞といった大マスコミを総動員しての広報が繰り広げられている。だから、私たちは、「クルマやバイクを停めるには、お金を払わなければいけない」と思い込んでいる。でも、日本の道路交通行政は、ほかの国と比べると極めて異質な法律と行政によって、極東のガラパゴスと化している。

オン・ストリートvsオフ・ストリート

オンストリート

ニッポンでは、ごく一部の道路を除き、すべての道路が駐車禁止にされている。一方、欧米都市ではびっくりするほど多くのオン・ストリート・パーキング(路上駐車場)が設けられている。

オン・ストリート・パーキング(路上駐車場)は、オフ・ストリート・パーキング(路外駐車場)に比較すると、大きなメリットがある。オンストリート・パーキング(路外駐車場)がどうしても出入り渋滞が発生するのに対し、オン・ストリート・パーキング(路上駐車場)には出入り渋滞が発生は皆無だ。その理由は、駐車可能台数分だけの出入り口があるからだ。

地方自治が機能している欧米都市では、都市のインフラとして、オン・ストリート・パーキング(路上駐車場)を広く取り入れることによって駐車場問題の解決にあたっている。

なのにニッポンでは、路上駐車が極端に困難なが実施されている。これは警察庁と国土交通省が一枚岩となって推し進めたものであり、全国一律だ。さらには、路上駐車そのものが悪であるかのような広報が、マスメディアを動員して大々的におこなわれている。

日本の路外駐車場

日本のオン・ストリート・パ-キング

ニッポンで路上駐車というと、パーキング・メーターとパーキング・チケットを思い浮かべるはずだ。しかしながら、日本警察が実施するそれは、欧米のオン・ストリート・パーキングとはまったくの別モノである。

日欧路上駐車場比較

道路交通法という警察の道具

道路交通法は、1947年(昭和22年)に内務省が公布した道路交通取締令を源とする。道路交通取締令は、「取り締まり令」の名のとおり、もともとはクルマを取り締まるための法律である。

くしくも、民主的な道路法が公布される1952年(昭和27年)より5年早い。この道路交通法によって、警察は道路の規制と取り締まりの両方を牛耳ったまま現在にいたっている。

そして、道路を通行以外の目的で利用しようとする際には、道路交通法がハードルとなり、ほかの省庁単独でそれを決定することはできない。

ニッポンのパーキング・メーターとパーキング・チケットは、根拠法が道路交通法だ。
これらは駐車規制の一形態に過ぎない。カネを払えば1時間だけ違反を免除するようなものであり、欧米のオンストートパーキングとは根本的にちがっている。だから、カネが切れると、危険性や迷惑性になんら変化がないにもかかわらず、駐車違反として検挙されてしまうのである。

ニッポンの路上駐車行政をもう少しくわしく見てみよう。

タテ割りの都市計画

 

箸の上げ下ろしを規制するような法律によって、ニッポンの地方自治体の「自治」はおおきく制約されている。都市計画においても、地方自治体は中央省庁の用意するメニューを選ぶことが最大の仕事である。規制とヒモ付きの補助金によって、そうせざるを得ないのだ。

そうして、欧米都市では地方自治体が主体の道路交通行政は、ニッポンでは中央省庁が牛耳っている。さらに悪いことに、警察と国土交通省のタテ割りが、絶望的なほど、総合的・合理的な施策を拒絶している。