「違反は違反!」と高圧的な取締りを続けている警察は、
一方で盛んに交通安全を呼びかけています。
はたして、この呼びかけがドライバーに伝わるのだろうか?

道路にはドライバーに向けられた交通安全の金科玉条が踊り、
死亡事故多発」の横断幕や立て看板が乱立しています。
ところで、 死亡事故は本当に多発しているのだろうか?


警察は、死亡事故が「前年より〇人多い」「都道府県別でワースト△位になった」「昨年同月より×人多い」などと、ひんぱんな広報を行ってきました。
しかし、ただ死者を数えるだけの統計はあまりにも幼稚だ。

そこで、警察統計をちょっとだけ数学的に展開してみよう。

交通死者はずっと前から減り続けている






以上のように、バックグラウンドを勘案すると、交通死者は長期的な減少傾向にあることが明らかになります。

なぜ警察は「死亡事故多発」をアピールするのか?

1.悲惨な事故ほどインパクトが強い

刺激的な事件ほど、大くの人々が興味を持つものだ。
こうした「ウラ窓趣味」を利用する手法はワイドショーと何ら変わるところはない。

2.悲惨さをイメージさせやすい

『○○人が死んだ』と示した方が、事故の悲惨さをイメージさせ易い。
そして多くの人々は「かわいそう」という“感情だけの自己完結”を行いがちだ。
そしてこの感情は「加害者への敵意」へと容易にすり替わるものである。

3.結果として、警察活動を正当化させやすい

警察はこのようにして交通規制/取締りを正当化しているのである。
そして 「警察は悲惨な交通死の削減に努力しています」と胸をはって予算拡大を主張することができるのだろう。

いくら衝動的殺人が多発しようが、わいせつ事件が蔓延しようが、それらに対して警察がなし得る施策の予算はたかが知れている。最も予算が取れるのは交通施策なのだ。











 

悪者にされるオートバイ

かつてやり玉に上げられたのは「若者の無謀運転」でした。
しかし、 「若者の無謀運転」による事故が減少した近年では、「オートバイの事故」が警察広報のターゲットとされています。

オートバイがターゲットとされる要因は、ミニバイクの増加によって「ニ輪車」が事故当事者として統計に表れる頻度が増えたからだろう。しかしミニバイクの事故は、仮に過失の大部分がライダーにあったとしても、ケガをするのはライダーだ。

ところで、私は「トラックの事故多発」という看板をみたことがありません。

車種別走行台キロあたりの死者数
「近日掲載」

このように、トラックが他人を死に追いやる統計的根拠は圧倒的だ。

にもかかわらず、「トラックの事故多発」が広報されることはないのは、全国および各地のトラック協会が各種「交通安全運動」のスポンサーになり、全国および各地の交通安全協会に会費を支払い、そして、警察からの“天下り”を受け入れているからなのだろう。



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