日本の安全神話は崩壊している。ただし、警察発表にあるような「犯罪の広域化」や、「外国人犯罪組織の暗躍」などではなく、秩序そのものが崩壊している。
 “弱いものイジメ”と、“バレなければ何でもあり”の傾向は、いたるところで見られるようになり、「バレたときの開き直り」も、うんざりさせられるほど報道される。
 その一方、テレビでは楽しいことを演じる芸能人がはしゃぎ、楽しいことをテレビのなかにしか見つけることのできないティーンは、芸能人の演技をマネしようとしているようだ。先生が権威を失った学校は崩壊し、生徒に嫌われないことで精一杯の先生たちは、「生徒と分かり合える関係」を主張している。 そして―
無防備なまま楽しいことを求める少女は、エロビデオでセックスを学んだ男性と接触する。


 

■テレビ・新聞が隠す性犯罪

 

− 報 道 例 −

 ○○地区の19歳の短大生が、部屋に侵入した男性に暴行された。警察では、○○地区で既に6件発生している連続婦女暴行事件と関連があるとみて、捜査を進めている。連続婦女暴行事件の被害者は、18歳から22歳までの、いずれもひとり暮らしの女性で、深夜に窓から侵入した犯人に暴行を受けている。

 テレビや新聞などのメディアは、「強姦」「レイプ」という言葉を「報道の品位を落とすような淫らな言葉や隠語に類する語句」と定め、自主規制している。だから、テレビや新聞で、「強姦」「レイプ」という表現を目にすることはない。そしてレイプ事件は「婦女暴行」や「乱暴された」として報道されている。しかし、ボカした表現は、犯罪情勢の現実までもボカしてしまう。こうして、重要犯罪に分類されているはずの“強姦”は、犯罪情勢がまったく伝わらなくなっているのである。

  メディアが“強姦”や“レイプ”を隠すことについてのもうひとつの問題は、事実をボカすことが、逆に男性の性的興味を惹き、妄想を駆り立て、結果として「事件」ではなく、「裏窓」として受け取られてしまうことだ。

「暴行って、どこまでヤったんだ?オンナの顔はでねェのかよ


 

 

 

 

 

 

 


■警察発表の性犯罪/現実の性犯罪

警察庁発表(認知件数)
罪名(手口)
H5
H6
H7
H8 H9
H10
H11
H12 H13
強姦(レイプ)
1,611 1,616 1,500 1,483 1,657
1,873
1,857
2,260 2,228
強制わいせつ 3,581 3,580 3,644 4,025 4,398
4,251
5,346
7,412 9,326
出展:平成12年版警察白書(警察庁)、(H12〜13データは警察庁サイトより)

デジタル映像機器の普及と認知される性犯罪の低下)

 デジタルカメラ・家庭用ビデオは、誰もが手に入れられる手軽な商品となった。同時に認知されない性犯罪が激増しているはずだ。なぜならば「チクったら写真をバラまくぞ!」という脅迫は、性犯罪の認知率(届出率)を大きく減少させるである。つまりデジタルカメラ・家庭用ビデオは、性犯罪の被害者を泣き寝入りさるための決定的なツールとなるのである。
 また、「出会い系サイト」やSNSは、中高生までもが気軽に使うツールとして増殖を続けている。気軽に使えるという点では、かつてのテレクラの比ではない。これが性犯罪や援助交際の温床となっていることは、いまさら書くまでもないだろう。

 
性犯罪実数 増加
やったモン勝ちの風潮、遵法意識の低下  
 
認 知 率
低下
映像による脅し、警察不信を原因とし た届出の低下  

PBI予想性犯罪数  PHASE1
手口
H5
H6
H7
H8 H9
H10
H11
H12
強姦(レイプ)
374,651 404,000 394,736 423,714 517,812
645,862
714,230
982,608
認知率
0.43% 0.40% 0.38% 0.35% 0.32%
0.29%
0.26%
0.23%
強制わいせつ 179,050 204,571 242,933 322,000 439,800
536,800
1,069,200
1,482,400
認知率
2.0% 1.75% 1.5% 1.25% 1.0%
0.75%
0.5%
0.5%
※認知率に明確な根拠はありませんが、警察庁発表のデータ、性犯罪被害者の“声”、海外の犯罪統計などを勘案し、算出した。
平成12年度犯罪データ(警察庁発表)の展開

 
 
 
写真やビデオが使われた事件

滋賀県警大津署の巡査長が、レイプした被害女性の写真を撮影
2001.9.28〔毎日新聞〕

神奈川県警の巡査部長がヌード写真で婦人警官を恐喝
1999.11〔佐賀新聞〕

神奈川県警の巡査長が、押収された女性の裸体写真を持ち出し、関係を迫った
1999.9〔共同新聞〕

 

(性犯罪の最終目的)

 電車のなかでの痴漢は、女性の下着のなかに手でも入れない限りは強制わいせつにならない。ほとんどが軽犯罪法違反または迷惑防止条例違反として処理されている。では、どのような犯罪が強制わいせつとなるのでしょうか。 警察発表に準じて強制わいせつ強姦について考えてみます。
 まず、被害を警察に届ける性犯罪被害者は、「氷山の一角」といわれていることを念頭に入れておかなければなりません。それから、 強制わいせつ強姦も親告罪なので、告訴しなければ捜査はされない。もちろん、届けがなければ、統計にも反映されない。そして、認知される強制わいせつには、強姦の意図を持って犯行に及んだにもかかわらず、“最終目的”の達成ができなかったケースも含まれている。
  なお双方とも未遂罪の規定がある。しかし、未遂罪は“加害者の自白”または“未遂であることを立証するに足る証拠”が必要なので、被害者の親告をベースとした統計に「強姦未遂」としてカウントされることはあり得ない。したがって、被害女性が「挿入された」と親告すれば強姦で、それ以外は強制わいせつとして統計されているのである。

PBI予想性犯罪数  PHASE2
手口 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13
強姦(レイプ)の目的の犯行  増加 増加 増加 増加 増加 増加 増加 約120万人 さらに増加
警察庁発表のデータ、性犯罪被害者の“声”、下記米国資料を勘案し、全女性の0.2%で算出

 警察には犯罪情勢を正確に伝える責任があるはずだ。現実に沿った犯罪情勢を警察が伝えないことは、平和ボケに乗じた犯罪の温床となるのである。しかし残念ながら、この責任に対する自覚が、現在の警察にあるとはとうてい思えない。

アメリカの犯罪被害調査より
英文はCrushed Roses
-A belp page for Date Rape Survivors-より抜粋
推定総数
女性人口に対する割合
Somewhere in America, a woman is raped every 2 minutes, according to the U.S. Department of Justice.>
米国法務省によれば、アメリカのどこかで、女性は2分ごとに強姦される。
26万2800人
0.188%
In 1995, 354,670 women were the victims of a rape or sexual assault.(National Crime Victimization SurveyBureau of Justice Statistics, U.S. Department of Justice, 1996)
1995年に、354,670人の女性たちがレイプあるいは性的暴行の犠牲者であった。
35万4670人
0.254%
Over the last two years, more than 787,000 women were the victim of a rape or sexual assault.(National Crime Victimization Survey.Bureau of Justice Statistics, U.S. Department of Justice, 1996.)
これまでの2年にわたって、78万7千人以上の女性たちが、レイプあるいは性的暴行の犠牲者であった。
39万3500人
0.280%
The FBI estimates that 72 of every 100,000 females in the United States were raped last year.(Federal Bureau of Investigation, Uniform Crime Statistics, 1996)
FBIは、合衆国での100,000人の女性ごとの72人が去年強姦されたと推定する。
20万1600人
0.144%
・便宜的に米国総人口を2億8000万人、うち女性を半分として計算
・割合は少数以下第4位で四捨五入

 
“わいせつ目的の犯罪

わいせつ目的の犯罪には、強姦と強制わいせつのほかに、準強姦と準強制わいせつがあるが、警察統計にも記載がないので割愛した。




関連リンク
-アメリカの取り組み-
NACJD(犯罪統計局)
警察とは別の機関。
NCVS(犯罪被害調査)も行っている。
レイプとDVの調査結果
(1986-1990の部)

BJS
法務省犯罪統計局

NIJ
法務省の犯罪抑止研究機関

UCR(FBIの犯罪報告)
Uniform Crime Report

ホワイトハウス
犯罪情勢の要所



 

(ニッポン人男性の性嗜好)

 成人誌やアダルトビデオの傾向は、多くの日本人男性の性的興味が女子高生女子大生に向けられていることを示している。それなら、全女性数に対する被害者の割合は、年齢層によって大きく異なるはずだ。どう考えても、50歳台の女性よりは、20歳前後の女性の方が、性犯罪に遭う可能性が高いのである。
  したがって、仮に統計上での割合が全女性の0.2%あったとしても、それを若い年齢層に限れば、10倍の2%になり得るのである。つまり、若い女性の50人にひとりが、レイプの被害者になっている可能性があるのだ。

CREDIT
女子大学生342名のうち「強姦既遂」の被害率は、1.8%であった
JASE第6回学術研究補助金対象研究「性的被害の調査」より 小西 聖子氏 

 交通事故に匹敵するといっても過言ではない性犯罪が、水面下で起こっているのだ。しかし、おそらくニッポン警察は、認知数という、(統計上は正しいが)現実の犯罪情勢からかけ離れた数値を発表するだけで終わらせてしまうだろう。なぜなら、警察にとっての「性犯罪」は、大した予算獲得にならないからだ。予算がとれるのは「交通犯罪」なのである。
 こうして、100%捕捉可能な交通事故統計ばかりが強調され、道路交通監視システムが増殖してゆくのだろう。

 
関連リンク
-ニッポンの性犯罪-
警察官の犯行が多い原因は、職務上、性犯罪の被害者が泣き寝入りしている現実をよく知っているからなのかもしれません。


参照
なぜ交通死ばかり?
減ってゆく交通死者

 


■商業主義が先導する日本人の倫理観

1. アダルトビデオでの性描写

ごく普通のアダルトビデオのイメージ

強引に女性を押し倒す男と、抵抗する女性
女性は嫌がりながらも次第に感じてきて、あえぎ声を漏らし始める
男は女性にささやきかける 「濡れてるぞ。して欲しかったんだろ?」
やがて、女性は積極的に性行為を受け入れる・・・

 町のレンタルビデオ店は、アダルトビデオがなければ存続できないと言われている。 そしてレイプビデオはどこのレンタルビデオ店にも必ず置かれています。

 パッケージを見る限り、演技を感じさせるどころか、犯罪の匂いさえ漂うビデオをだれでもごく普通に借りることができる。ほとんどが“仕込み”なのであろうが、他の先進国といわれる国々のポルノが常に男女の合意の上で性行為をしているのに対して、日本のアダルトビデオのレイプ表現の無秩序さは異常だといわざるを得ない。

 レイプを題材にしたアダルトビデオが町のビデオ屋に溢れている事実は、いやがる女性を無理やり犯したいという願望が多くの男性にあることを証明している。しかしアダルトビデオに対する警察の規制の基準は、毛が出ているかどうかであって、“射好心”をアオる表現への規制はされていない。なお、アメリカでは性器がハッキリと露出した出版物は容易に手に入るが、男性が力ずくで嫌がる女性に性行為はする表現は厳しく規制されているらしい。

   
 


2. 毎日のように放映される深夜の風俗番組

仰天!ティーンの性意識!!

渋谷公園通りで突撃レポート
レポーター 「エンコーしたことありますか?」
コギャル 「そんなのみんなヤッてるよ」
そしてカメラはスタジオに戻り、ティーンの性の乱れを楽しく語る。
カメラは見た!人妻の裏の顔!!
シティホテル前で突撃インタビュー
レポーター 「ご主人にバレたらどうします?」
人妻
「そんな心配より、女であることを感じていたいの」

そしてカメラはスタジオに戻り、 人妻の性の乱れを面白おかしく語る。


深夜には、これと同じ手法を使ったバラエティ番組がうんざりするほど放送されている。
シロウトを使った番組では、「現実のおもしろさ」で盛り上げなければならないのだろうが、オーバーな出演者のリアクションや、構成上の演出がなされた番組ばかりじゃ、テレビをみる人の感覚も麻痺してしまう。毎晩激辛ラーメンを食べつづけると、舌が麻痺してしまうようなものだ。

 

参照 ⇒正義の警察官


 

3. 雑誌での性表現

 かつてオーラルセックスでさえ特別な行為であったのが、多くの雑誌が「気持ちよくなるためにはなんでもあり」へと大きく舵を切った。いい替えるなら、「楽しい」「面白い」「かわいい」「カッコいい」を重視するソフト路線は「気持ちいい」ことも積極的に取り入れ、発行部数を競った。そしてコンビニの本棚には、性表現の過当競争の結果がたくさん並んでいる。少年マンガ誌の主人公は、思うがままに性欲を満たし、普通誌とエロ雑誌のボーダーラインも限りなく不透明だ。



 
 

4. 犯罪の損得勘定とモラルハザード

 テレビのコマーシャルを見て「オモシロそうだから買おう」これは自然な欲求だ。 アダルトビデオや性の乱れを面白おかしく表現したテレビや雑誌を見て「気持ちよさそうだから・・・」 これも自然な欲求である。 行動に移すかどうかは、自分自身を制御できるかどうかの違いに過ぎない。そして、自己制御の判断基準となるのが、モラルや法律である。

 残念なことに、現在この国では、警官の性犯罪、学校教師の援助交際、官僚の組織的不適切行為、政治家の疑惑への開き直りなどなどが多発している。公的な職にありながら、モラルどころか、法律を盾にして責任のがれを謀るケースは経済事案に多く、情けない性犯罪は目を覆うほど増加している。

  こうしたモラルハザードの真っ只中にある現代社会においては、法律によるコントロールもあまり期待できない。すっかり信頼を失っている警察官が、軽微な交通違反ばかりを取り締まって状況も、かえって法律の権威を失墜させている。 そして、警察官がひんぱんに性犯罪を犯す現実は、性犯罪被害者の最後の砦が崩壊していることを示しています。

 犯罪を捜査する立場にある警察官が、ひんぱんに性犯罪を犯す現実は、まちがいなく性犯罪の増加を先導する。一方、組織としての警察は、決して警官の性犯罪が恒常化していることを認めようとはしない。事件が発覚し、謝罪する警察幹部の言葉はいつも同じ「警察官としてあるまじき事件であり、誠に遺憾だ」

 このように「売れるなら何でもあり」の商業主義が日本人の倫理観を先導し、モラルと法律の歯止めを失った人々は、自制を失っている。

 
犯罪の損得勘定
A 量刑に対する損得勘定
「5億円」の脱税容疑に対して罰金が20万円で済ませた政治家がいた。彼の、「犯罪の収支」は大きな黒字となる。

B 捕まる可能性に対する損得勘定
バレなければ法的な制裁が加えられることはない。当然、犯罪者はバレにくい犯罪を計画する。
また性犯罪においては、泣き寝入り材料を仕組むことで、バレる可能性を劇的低下させることができる。

C 総合的な損得勘定
A×Bが「総合的な損得勘定」である、犯罪はこの結果をもとに計画・実行される。なお、すべての計画犯は、この損得勘定を綿密に、ないし無意識に計算している。

 


■アダルトビデオと警察の利益

『やめてください!女子校生痴漢マル秘ファイル』
『衝撃!女子校生レイプ!禁断の流出事件簿』

 女子校生、痴漢、レイプは日本アダルトビデオ不朽のジャンルだ。日本ビデオ倫理協会のマル適(審査済)シールの貼られた作品郡にも無数にある。ところでここ数年来、インディーズといわれるビデ倫の審査を受けない作品が普通のレンタルビデオ店に並ぶようになった。そこでビデ倫マークがあるなしでパッケージを見比べてみる。しかしその違いはアンダーヘアのボカシ具合だけだ。「倫理」とは名ばかりで、イヤがる女性を強引に犯す作品、女子高性への痴漢ダイジェスト、薬で眠らせ無抵抗にしてイタズラ、とにかく何でもありなのだ。

ビデオ倫理監視委員会からのお知らせ
 ビデオ倫理監視委員会は、日本ビデオ倫理協会で審査された作品の海賊番の販売ならびに無許諾業務上映など著作件を侵害する不正行為を監視する団体です。
 この作品は著作権法による保護の対象となるものであり、無断で複製・放送・ホテルなどでの業務上映に使用することは法律で禁止されており、違反した場合は民事上の責任を負うだけでなく、刑事処罰の対象となります。
 日本ビデオ倫理協会で審査された作品には、パッケージおよび本体に審査番号のはいったシールが貼られています。また、作品の冒頭にも審査番号が入っています。これらの番号が合致しない場合や、シールが所定の場所に貼られていないなどの場合、その作品は海賊版の可能性があります。そのような作品をお見かけしましたら、ビデオ倫理監視委員会フリーダイヤル0120-77-○○○○までご連絡下さい。ご協力をお願い致します。

 どうやら日本ビデオ倫理協会の「倫理」とは、審査料を払った“作品”の著作権を守ることだけのようだ。

 
 
 
 
 
 
 


■アダルトビデオの表現が「禁断の×××」に向かう原因

■警察の規制が裏ビデオによるアングラマネーを創出する

 
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