役人天国の現実
ITバブルの当初、野心ある経営者たちは、ゴールド・ラッシュをモチーフにしたビジネスモデルを展開した。やがて、甘い戦略は崩れ、非情な競争原理が野心家たちの夢を砕いた。
そして長い不況は続き、ふと気がつくと、社会は2極化していた。いわゆる、勝ち組と負け組である。テレビ欄をみると、この2極化をおもしろおかしく表現した番組が毎日のようにゴールデンタイムに並んでいる。
貧乏バトル、セレブの華麗な生活、夢の田舎暮らし ―― etc.
勝ち組/負け組というステレオタイプな表現がもたらす悪影響はさておき、明快なのは、公務員と非公務員(民間人)の2極化である。
わかりやすく言うと、非公務員(民間人)には勝ち組/負け組が広範囲にひろがっているのに対し、公務員のほとんどが、何の危機感もなく勝ち組づらをしているのである。
さて、公務員が手に入れた豊かさのうち、表面的な豊かさ(右図参照⇒)だけを見ても、とうてい“奉仕者”にはそぐわないものだ。そして、公務員たちは、ウラ側にさらなる豊かさを持っている。
それでは、公務員のウラ側の豊かさを可能にした「お役所のビジネスモデル」をみてみよう。
お役所のビジネスモデル その1
市場のコントロール/お役所のコントロール
一般的な自由経済社会においては、主として市場原理が、企業と消費者のバランスを保つ機能を持つ。良い商品は評価され、悪い商品は市場から見放される、という仕組みだ。しかし、ニッポンにおいては、さまざまな許認可や規制が市場をコントロールしている。
市場のコントロール
|
お役所のコントロール
|
こうしたお役所のコントールは、古い大企業を守る方向に働いている。そして、お役所に守られた業界の企業は、競争不要のぬるま湯状態にどっぷりとつかっている。
司法のコントロール/お役所のコントロール
一般的な法治国家においては、まず市場原理によって、消費者をないがしろにする企業を排除されることが期待されている。良い商品は評価され、悪い商品は市場から見放される、という仕組みだ。そして、法令違反には司法が関与する。しかし、ニッポンでは、企業の法令違反に対しも、司法ではなく行政が積極的に介入する。
法治国家の基本
|
お役所のコントロール
|
業界団体とお役所の利益
ニッポンの現実
|
このようにお役所が、企業にかかわり合おうとするのは、各種業界団体(公益法人等)をつくり、そこで甘い汁を吸うためである。
こうして設立される社団法人○×協会や、財団法人◎◎協会といった業界団体には、お役所から天下りするための指定席が用意されている。
こうしたシステムによる行き過ぎた規制が、健全な競争を阻み、社会の自由な活力を失わせている。それに、十分な競争が行われないことによって、不利益を被るのは消費者である。
諸外国は、こうした日本の排他的なシステムに対し、公正で自由な競争原理と自己責任の原則への転換を求めている。
|