運転免許制度の国際比較

日 本 NY州 イギリス フランス ドイツ
免許
制度
免許制度の所管 都道府県警察
(公安委員会)
ニューヨーク州DMV(陸運局)のMotor Vehicle Bureau DVLC - Department for Transport(交通省)の免許部局 Prefecture de police
(地域警察)
STRASSENVERKEHRSAMT
(交通局)
本検定は別機関(TUEV)
有効期間 3年(優良者は5年) 5年
10年
無期限
無期限
自動車
学校
自動車学校 都道府県警察(公安委員会)が公認する自動車学校に入学しなければ、最初の免許は取れない 15時間程度の実地講習が必要といわれているが、自分の車で練習して試験を受けることもできる 民間の自動車学校で練習するが、自分の車で練習して試験にも自分の車を持ちこむ人もいる 民間の自動車学校(auto-ecole)で運転講習を受けた後、地元警察の実地試験を受ける 学科講習⇒学科仮検定(Vortest)⇒学科本検定⇒技能講習⇒技能本検定
練習方法
公道での練習には、教習指導員の同乗が必要
NY州の例
免許保持者同乗で路上練習可能
L”と書いた紙を車に張り、普通免許所持者の同乗があれば路上で練習できる 調査中 公道での練習は、自動車学校の技能講習として行われる。
費 用 26万位から
(手数料別)
18~25ドル/時間  9~13ポンド/時間  4000~5000フラン DM1,000~2,000
料金システム 全額前払い制 時間ごとに支払う 時間ごとに支払う 前払い制 前払い制
学 科 26時限 自分で勉強する(仏:auto-ecoleでは学科を受けることもできる) 14学科
技能講習 15時限
(オートマは12時限)
日本のように法令で定められた技能講習規定はない 12時間
更新・
再交付
通 知 900円 あり 調査中 更新不要 更新不要
更 新 更新手数料2200円
+講習手数料
優良 700円
一般1700円
28ドル(クラスD) 19ポンド 310フラン 調査中
再交付 3500円 8ドル  19ポンド 調査中 調査中

国際
免許

国際免許 都道府県警察
(公安委員会) に申請 
AAA公認のAuto-Clubに申請 国内免許は、EC/EEA加盟国で国際免許として通用する
費 用 2700円 調査中
有効期間 1年
調査中
10年
無期限 無期限
 

高額な費用

ニッポンの免許制度が、高額な費用負担を強いていることが分かるはずだ

マンツーマンの指導だから仕方ない、と教習所の関係者は口をそろえる。しかし、同様の運転教習を行う他国のドライビングスクールと比較すれば、その言葉に説得力はない。

日本では広い場所が必要だから高くなる、 という意見もある。しかし、地方で田畑のまん中(タダ同然)にある教習所の料金は、首都圏の料金にさほど大きな違いはない。典型的な『護送船団方式』だといってよいだろう。 旅費・宿泊費代・食費パックの合宿免許が、“通い”と同程度の料金で提供されていることから、その採算分岐点が想像ができるのである。

厳しいカリキュラム

一覧からは、ニッポンの免許制度に、厳しいカリキュラムが強かれていることが読みとれる。 ちなみにドイツは日本と同じくらい厳しいが、免許は生涯有効で費用も日本の半分以下だ。

ニッポンのドライバーの運転モラルのレベルから推考すると、日本で免許取得に課せられる厳しいカリキュラムはとうてい有効だとはいえない。

それに、昔よりマシになったとはいえ、ニッポンの教習所の指導員の質の悪さを指摘する声は、現在でもさまざまな場所で目にすることができる。高圧的、サービス精神がない、セクハラが代表例だ。

DRIVE IN JAPAN

ニッポンでクルマの運転するためには、高額な費用を支払ってクルマ道場に入門しなければならない。そこでは体育会系の教官がいまだに幅を利かせている。座学では、クルマ道の経典(道路交通法)を少し分かりやすく解説した教材を使って、15時限に渡る修行が行われる。

実地運転

実地では「法令を遵守すること」だけに重きが置かれ、路上教習でも「クルマの流れ」に逆らったスローペースを強要される。そこに科学的・合理的な安全理論はなく、ただ“違反は危険”の絶対論が全てを支配する。この“違反は危険”の絶対論を信じてしまうと、臨機応変な対応を、自ら考えることを忘れ、「なにが違反なのか?」が、クルマを運転するうえでの最大の関心事となってしまうのである。

卒業するまでのあいだ、高圧的な教官の態度を我慢し、やっと免許を取ると、免許皆伝となった気がして自然と気がゆるんでしまう。高い費用を払って修行に耐え、もはや教官にうるさく言われることもないからだ。しかし、卒業して自由の身になったと思ったら大きな間違い。道路では、けん銃で武装したおまわりさんに、違反は違反と追いまわされる。そして、おまわりさんの前でしか守られていない速度規制の理不尽さに気が付いたとき、「捕まらないようにやればいいんだ」という価値観が形成されるのである。

   
参照リンク
  • 米国の例
    (料金・制度について)
  • ドイツの例
    (主に制度について)
  • フランスの例

  • 運転免許ビジネスの市場

    平成9年度の普通1種の受験者数は2,820,731人であった。平均費用を26万円と仮定しても、7千億円/年の市場なのである。


    公認と非公認

    自動車教習所は各都道府県公安委員会(=警察)の公認を受けなければ、経営はできない。

    こうした公安委員会の許認可の類には、自動車教習所への指定制度、ピンクサロンやパチンコ店への許可制、深夜営業のクラブやスナックの届出制などがある。

    規制緩和の流れは、運転免許業界にも押し寄せた。そして現在では、非公認の自動車学校も見られるようになった。こうした非公認の自動車教習所は、ペーパードライバーや免許失効者らの教習などに利用されている。


    イギリスの免許制度と自動車学校


    仮免(Provisional Licence)

    郵便局で10ポンドを払い込めば、10日程度で送られてくる。そして、この仮免があれば、ともだちの車にでも“L”と書いた紙を貼り、助手席に免許を持った友だちに同乗してもらえば、路上で練習できる。 また、65歳の誕生日まで有効なので、ドライビングスクールにしばられることもない。(1998年に免許の有効期間は10年、申請費用は29ポンドとなった)

    一方、ニッポンの仮免許はわずか6ヶ月で失効する。また料金システムは、一括で全額を前払い制だ。もちろん途中でやめても、料金は返却されない。さらに仮免許を失効させてしまったら、最初からやり直しだ。

    なお、イタリアの仮免許も6ヶ月で失効する。しかし、イタリアの仮免は取得が簡単で、費用もニッポンにくらべればタダ同然なので、単に有効期限だけを比較すべきではありません。

    TOPIC
     ロンドンタクシーは、ドライバーになるための試験がとてもむつかしいことで知られている。「A to Z」と呼ばれるロンドン中心部のすべての道路名とその場所をおぼえなければならないのだ。
     またキャブとは区別されたロンドンタクシーのドライバーには高いステイタスが与えれら、誇り(honor)を持って仕事をすることができるそうだ。
     警察の所管する2種免許さえあれば、誰にでもそこそこのカネが稼げる。こんなイメージの強い日本のタクシー・ドライバーとは、雲泥の差を感じざるを得ない。

    仮免での路上練習

    友だちの車を借りられない人や、Driving schoolで教えてもらいたい人は、BSMなどの民間のDriving schoolで申込み、実地練習を路上で行う。

    大手の、Driving schoolでは、最寄のオフィスに通って、そこから路上講習にでかける。また、小規模(or個人)で運転を教えているところもある。時間と場所をすると、そこまで指導員が練習用の車でやってきて、近くの路上で練習をさせてくれるのだ。
    左の写真は、私(このサイトの管理人)が21歳の時のものである。練習は6回、延べ12時間だ。平均より少し短いが、この程度の練習で本試験に望み、免許を取得するのが普通。

    実地試験

    実地試験は、自分の車か友達の車、または、Driving schoolの車を持ちこみ、路上で実施される。

    試験が終わるとすぐ、試験官は口頭で合否を教えてくれる。もし不合格なら、 『不合格の理由書』が渡される。(左下の写真)私の試験官は「hesitancyが多いから落ちたんだよ」と言った。たしかに1発で合格しようと、慎重になり過ぎたという自覚があった。

    hesitancy(躊躇)するな」ということは、「行くと決めたら思い切り良く行け!」ということだ。そういえば、指導員のジムは、右左折して直線に入ると、いつも“MORE GAS! MORE!!”(もっと加速しろ!もっとだ!!)と怒鳴っていた。直進して来る後続車との距離を保つために、さっさと流れに乗る必要があるのだ。

    これがニッポンでは、「注意しすぎることはない。とにかくゆっくり。規則を守れば安全だ」の論理に支配されている。こんな風に、流れに乗る必要性を一切教えないのは、おそらくニッポンだけだろう。 しかし、運転にメリハリをつけることは、交通安全のためにも必要なことなのだ。

    当時21歳の私は、最初の試験に落ち、帰国のためニッポンで免許をとることになった。

    不合格の理由書