up date 2000.2.7

公安委員会なんかいらない!

神奈川県警の虚偽発表で神奈川県警が警察庁と協議の上で事件を伏せた経緯が報道されましたが、不祥事の処理に 神奈川県公安委員会は関与していません。 そこに県公安委員会が県警察を管理するというシステムが機能していないことが 露呈しています。 警察の紹介(HPやパンフレットや白書)には

都道府県における警察行政の民主的運営、政治的中立性の確保の点で、 大きな役割を果たしている と書かれていますが、

裏を返せば 公安委員会が機能しなければ、警察行政の民主的運営、 政治的中立性は確保されない となります。

 

公安委員会とは

 公安委員会制度は、警察の民主的管理と政治的中立性の確保を図るために戦後GHQが設けたものであり、法的な枠組は現在も残されている。

 国には国家公安委員会、警視庁および道府県警察(以下都道府県警察とする)には都道府県公安委員会が設置され警察の上級行政庁としてのタテマエでそれぞれ警察を管理していることになっている

 都道府県公安委員会は都道府及び指定県の場合は5人、それ以外の県および北海道の方面は3人の委員によって構成される。公安委員は民意の代表として議会承認を経て知事が任命する。

 公安委員会制度が機能していないことは多くの人が知っていたが、2000年春ころまではアンタッチャブル・ゾーンとされていた。

神奈川県警不祥事の後、神奈川県警はホームページ上で県公安委員の紹介を開始し、その後栃木県警の

 

参考ファイル/公安委員会規則


神奈川県公安委員会

委員長 柳川 三五 昭和6年7月生まれ 川崎信用金庫理事長

※昭和29年川崎信用金庫に入り、人事部長などを経て、平成元年理事長に就任

委員長代理 馬場 貞夫 昭和9年1月生まれ 横浜市助役
※横浜氏企画財政局長を経て、助役
委 員 近藤 脩 大正15年7月生まれ
調査中
委 員 篠崎 孝子 昭和5年11月生まれ 有隣堂社長
山手英学院理事長代理
出版業界に働く女性を中心とした集まり”Epoch”のリーダーも務める
※旧姓松信。有隣堂は松信家の経営
委 員 石井 明 大正11年2月生まれ 神奈川県公営企業管理者・企業庁長

東京都公安委員会

委員長 豊倉 一 昭和2年9月生まれ 東日本建設業協会株式会社社長

元都市整備公団総裁

前阪神高速道路公団総裁
委 員 大西 勝也 昭和3年9月生まれ 最高裁判事
元最高裁事務総長
委 員 菅野 晴夫 大正14年9月生まれ 癌研名誉所長
癌科学療法センター所長
委 員 渡邊 宏

大正12年10月生まれ

東京ガス株式会社社長
癌研究会理事長
東京商工会議所副会頭
委 員 金平 輝子 昭和2年3月生まれ

東京都歴史文化財団理事長

厚生省医療福祉審議会会長
東京都副知事(S62~)
東京都社会福祉振興財団理事長(H3~)

北海道公安委員会

委員長 三浦 弘 大正14年11月生まれ 日本清酒取締役会長
札幌物産協会会長
委 員 山根 喬 昭和5年8月生まれ 北海道公文書審査会会長
北海道私学審議会会長
北海道二世紀クラブ会長
委 員 潮田 隆 大正15年7月生まれ 札幌銀行会長兼頭取
北海道経連常任理事
委 員 清水 美千子 昭和5年4月生まれ 札幌商工会議所婦人会長
北海道開発審議会委員
北海道商工会議所婦人会連合会長
シミズ電建会長
委 員 佐野 文男 昭和10年7月生まれ 社会保険総合病院院長
北海道大学非常勤講師
北海道医師会副会長

敬称は省略させていただきました

 委員は警察本部内では「先生」と呼ばれる。確かにそろってそうそうたる肩書きをお持ちだ。しかしこれらの肩書き(本職)と併せて公安委員会のお仕事が可能なのであろうか?

北海道での公安委員長への報酬は年間402万円。 他の委員への報酬は288万円である(いずれも平成9年度実績)。 広範な警察責務を管理する仕事への報酬としては安すぎる。名誉職としての報酬設定額であることは明らかだ。

 また数々の功績を残された先生方にとっても、公安委員になるそれまで深く関与することのなかったであろう広範な警察所掌事務を管理するための知識を蓄えることは、失礼ながら年齢的にかなりしんどいのではないだろうか。

 北海道公安委員会(011-251-0110内2124)に電話すると北海道警察総務部に繋がる。また北海道では公安委員会に所属する職員はひとりもおらず、先生方は毎週水曜日午後1時からの会議に来るだけである。なお会議は必ずしも毎週行われるわけではない。

 都道府県公安委員会は知事の所管にあるが都道府県警察に対して知事は直接の権限を持たない。公安委員会を間にはさむことによって、都道府県警察が都道府県の直接的な関与を退けている実態がそこにある。

 都道府県の財源によってその活動費のほとんどを賄いながら都道府県には警察活動に関与する何の権限も与えられていない。

 地域差や地域の特色を無視して全国一律の警察運営を行い得る恐ろしく中央集権化された組織が日本警察なのである。そしてその権限は警察庁長官に集約されている。

 お飾りとなった都道府県公安委員会の存在が警察の実態を市民に伝わりにくくし、警察には「公安委員会が決めたこと」といういい訳を与えている。

 この日本警察の状況は民主主義の対極にあるといっても過言ではない。


公安委員の責任

「名誉職ですので、時々会議に出るだけでいいですから」

と警察に打診されて公安委員を引き受けたとしても、警察の民主的運営という大儀を(制度上)任され、報酬をもらっているのならそれなりの責任が伴うはずだ。

 神奈川県警の組織的不祥事隠しは警察組織としての根本的問題が引き起こしている数々の犯罪・不祥事・疑惑は一般市民の興味を引き起こした。組織としての問題が指摘されつづけながらもなお閉鎖的であり続けようとする警察・・・

 警察行政の民主的運営、政治的中立性の確保の点で、 大きな役割を果たしていると警察が主張しているのだから、偽りのカンバンを担いだ責任を取るべきか・・・

「条例により代行させているから自分には責任はない」なんて言わないでネ。先生