裁判所書記官印
(この調書は,第3回公判調書と一体となるものである。)
事件番号平成17年(わ)第413号
氏名 山*幸*
年齢 33歳(昭和47年*月**日生)
住居 横浜市南区永田東*−*−* ************
職業 会社員
尋問及び供述
別紙速記録記載のとおり
以上
氏名 山*幸*
事件番号 平成17年(わ)第413号
証人氏名 山*幸*
検察官(渡遽)
証人は,平成16年2月6日午前8時ごろ交通事故に遭いましたね。
はい。
場所は横浜市中区本町5丁目49番地の交差点で間違いないですか。
はい。
運転歴は,15年ぐらいになりますね。
ありません。
本件の事故のことをお聞きします。この日は,原動機付自転車に乗っていたということでよろしいですか。
はい。
これからは,原動機付自転車のことを単に原付と言ってお話しします。この目は,証人はどこに向かっていましたか。
会社に出勤する。
中区の海岸通です。
証人が運転していた原付のハンドルやブレーキには,故障はありませんでしたか。
ありませんでした。
証人は,毎日この原付で出勤しているということでよろしいでしょうか。
はい。
本件の交差点のことなんですけれども,証人が通勤する際には,この交差点を毎日通過しているということでよろしいでしょうか。
はい。
今から5年ぐらい前ですね。
では,この原付には乗り慣れていたということでよろしいですか。
はい。
証人は,自宅からこの交差点に至るまで,どのような経路を走ってきましたか。
平戸桜木道路を走ってまして,桜木町の駅で右折しました。それで交差点ですね。
はい。
右折する予定でした。
右折というのは,弁天橋方面から元町方面に右折するということでよろしいですか。
はい。
証人はこの交差点をほぼ毎日通過していたということなんですけれども,この交差点の通行量というのはどのぐらいなものなんでしょうか。
朝は多いですね。
ふだんと変わらなかったですね。
はい。
晴れだったと思います。
眼鏡をして,1.0ですね,両目。
証人はふだんから,原付を運転するときには眼鏡をしているということでよろしいですか。
はい。
そうすると,この日は証人はどのぐらい先まで見通せましたですか。
どのぐらいって,難しいですね。
はい,見通せました。
はい。
この日は,午前8時ごろに交差点に来ているということなんですけれども,ふだんと同じぐらいの時間ということでよろしいですか。
若干早めでした。
8時15分から20分ぐらいですね。
この日いつもより早かったのは,どういう理由があるんでしょうか。
朝,会社のほうでですね,会議だったかちょっと外出しなきやいけなかったかが…午前中に予定が入っていまして,ちょっと早めに出勤をしようと思っていました。
午前中,その外出しなきやいけない予定というのは何時からだったのですか。
10時ぐらいですね。
それまでに,しなければならない仕事があったということですか。
ええ,そういうことが発生すると思ってですね。
会社の書類が朝着くんで,ちょっと行ってみないと分からない状況ではあるんですけど。
とすれば,必ず行かなければならないという理由ではなかったということですか。
はい,そうです。
始業時間は9時からです。
そうすると,この日も9時ぐらいに出社すればよかったということですね。
はい。
5分程度です。
そうすれば,この交差点に来た時間が8時ということだったので,出社時間までには十分間に合うという時間ですね。
はい。
ほかに,証人が急いで会社に行かなければならない用事はありましたか。
いえ,特にないです。
とすれば,無理して交差点を右折する必要はなかったわけですね。
はい。
証人が右折して走行しようとしていた車線は,込んでいましたか。
込んでいたと思います。
信号から,その進行方向の1個前の信号から距離があんまりないんですけど,その前は,車がつながっていた記憶はありますね。
そうすると,この交差点で曲がった入口付近には車が停車していたというような状況になりますか。
そうですね。
証人は,この交差点に着いたときに,何か考え事や心配事はありませんでしたか。
特にないです。
話は変わりますけれども,証人は2月10日に実況見分をしましたね。
はい。
はい。
その指示説明の際に,警察官から誘導を受けたということはありませんか。
ないです。
検察官証拠番号甲2添付の交通事故現場見取図を示す
この見取図なんですけれども,あなたが指示したとおりに作成されたもので間違いないですか。
はい。
証人が,この交差点に来て,まず停車した位置を教えてください。
の位置ですね。
このの位置というのは,停止線付近ということなんですけれども,ほかの車両よりも前ということでよろしいですか。
そうですね,先頭でした。
ありました。
普通乗用車だと思うんですけれども,余り記憶にはないですね。
はい。
信号の2ですかね。
はい。
ないですね。
根拠は,信号が青に変わるのを待っていたというだけなんですけど。
信号がいつ変わるかを見ていたということで,信号機をずっと見ていたということですか。
はい。
二,三分だったと思います。
証人がの地点で停車したということは,信号2の表示が赤だったということでよろしいですか。
はい。
ええ,変わりました。
赤から青です。
はい。
発車しました。
10キロから20キロだと思います。
証人が発車したときに,同じ車線で停車していたほかの普通乗用自動車も,同じように発進しましたか。
と思います。先頭だったんで,あんまり確認はしてないですけど。
はい。
はい。
特に,どのようなことって…そんな感じがしたわけです。
証人が発進した後に,被告人の車両に気付いたのはどこでしたか。
の地点ですね。
はい。
@の地点ぐらいだったと思います。
はい。
@の地点なんですけれども,この地点は被告人車両がまだ停止線を越えて いない位置なんですけれども,被告人車両が停止線を越えていないということははっきり見ましたか。
いや,そこまでは確認してません。
証人から見て,大体この辺りの位置だったということでよろしいですか。
はい。
被告人車両を見たときに,大体被告人車両のスピードはどのぐらいと感じましたか。
50キロから60キロぐらいではないかなとは思いますけど,はっきりとは分かんないですね。
ぶつかりそうだなという感じですね。
よけようとして,ハンドルを右に切りました。
ブレーキはかけていないと思います。
いや,特にないですね。反射的ですね。
いや,ぶつかりました。衝突しました。
の付近だと思います。
はい。
衝突したということですね。
被告人車両と証人の原付がぶつかった場所ということでよろしいですか。
はい。
左後方のタイヤの付近ですね。
前輪部分です。
左側に転倒しました。
どのように…左に倒れましたね。
そうです。
そうですね。
証人が青信号になって発進してから衝突するまでには,どのぐらいの時間がありましたか。
1秒か2秒・‥1秒ということはない…二,三秒だと思いますけど。
そうすると,証人にとっては一瞬の出来事だったということですか。
はい。
証人が衝突した後に転倒したのは左側ということでよろしいですか。
はい。
証人が被告人の車両に衝突する以前に,既に転倒していたということはありませんか。
ええ,ありません。
印で被告人車両と衝突した後に,被告人の車両はどのように動きましたか。
A番の方向にですね,ありました。
そうですね。
被告人の車両がAに停車した後に,被告人は何か行動をとっていましたか。
カメラを持ち出して写真撮影をやってたと思います。
その事故現場の状況と,信号機ですとかですね。
証人は,被告人がカメラで撮影している辺りで,被告人と話をしたことはありませんか。
すぐはなかったと思います。
証人に話をする前に,カメラで写真を撮っていたということでよろしいですか。
そうですね。
まあ,声も掛けない人だなとは思いましたけどね。
まず,バイクが交差点内にあったんで,端っこに寄せて,近くに止まってた,信号待ちしていた車の方に,ちょっと証人になっていただこうと思って声を掛けました。
その証人になってもらおうと思った信号待ちをしていた方というのは,この図面でいうとどの辺りに停車していたんですか。
左の,桜木町方面から元町に向かって,4車線の一番下の車線ですね。
この図でいうと,上から4.0,3.2,3.2,3.1と数字が書いてあるんですが,その3.1というところの辺りに止まっていたということですか。
はい。
あの,見ていられましたかということで。
事故を。
はい。
ええ,青になってましたよねということで,確認を取りました。
そのとおりだよということで。
ええ,しました。
まず,先方のほうから,僕が悪いということを言われまして…あとは,この事故は保険で処理をしないからというようなことを言っていましたね。
まあ,自分は悪いとは思ってはいなかったんで,そういう反応をした記憶があります。
そっちが赤信号だったんじやないかということは言いました。
被告人は,今回の事故の原因は証人の見切り発車が原因だと言っていますが,それについてはどう思いますか。
まあ,青になってから発進したはずなので,それはないと思います。
話は戻るんですけれども,証人はの位置から青信号を見て発車しようとしたときに,左右はよく確認しなかったんですか。
ええ,しませんでした。
それは,進行方向の信号が青になっていたからです。
信号が青になったから,飛び出してくる車はいないと思ったと,そういうことですか。
はい。
もし証人がこの信号で,赤信号で見切り発車をしたとすれば,そのように左右を確認しないということは考えられますか。
考えられないですね。
当然,横の信号が青なはずなので,進行してくる車があると思われるからです。
もし見切り発車をすれば事故に遭う可能性があると,そういうことですね。
はい。
いえ,特に進んでいないですね。
廃車処分しました。
まだ,自費で払っただけですね。
はい。
ええ,終わっています。
ええ,ないです。
治療費は,先方さんの自賠責保険で処理しました。
その保険の手続に関して話をしました。
被害者請求をしてくれということですね。
特にないです。
まあ,特に何もないです。
まあ,それなりに,法にのっとってということですね。
はい。
弁護人
先ほど,冒頭の検察官の質問に対して,通常よりもちょっと早くこの交差点に来たとおっしやいましたね。
はい。
はい。
そうすると,9時までに行けばいいということではなかったんでしょう。
いや,違います。朝行ってみないと,事務仕事なんですけど,処理する書類があるかないかも分からないんですよ。
つもりはそうです,当然。
そういう考えがなければ,8時20分ごろこの信号を通過するのが通常の状態だったわけですね。
はい。
それから,手前の信号の辺りから車がつながっていたそうですが,その手 前の信号を通過するのに時間は掛かりましたか。
自分がですか。
いや,信号を通過する前に事故が起きたので。
私の誤解かもしれません。この交差点の信号の手前,もう一つの信号。
先の信号ですね。
ではないです,先の信号です。
検察官証拠番号甲2添付の交通事故現場見取図を示す
先ほど御覧になった図面と同じですが,当日あなたが説明されたとおりに記載されてると,大体そういう理解でいいですね。
はい。
はい。
そうですね。
あなたの右側は2車線あるんですが,ここには2台車が止まっていましたか。
止まっていたと思います。
二輪車はいなかったと思います。
はい。
そうですね。
私が不思議でならないのは,被告人の車を見付けた位置がですね。
はい。
これは,進行方向からすると随分左側を走ってるような印象を受けるんですけれども,左のほうを走って急角度で右に曲がるという進路を考えてたんですか。
そうですね。この元町方面の信号ですね,その最初の信号を左折する予定だったので,一番奥の車線に,奥というか端っこを走りたかった。それで隣に車がいると思うんで,あんまり中を走ると危険だという意識があって,なるべく大回りをするような感じで走っていたと思います。
あなたがの位置に来たときに,右側を車が走ってたかどうかというのは記憶にありますか。
ないですけど。
記憶にないんですか。それとも,そういう車がなかったということですか。
いや,記憶にはないですね。
それから,あなたはハンドルを右に切ろうとしたとおっしやいましたね。
はい。
この見取図の右下のほうに記載してある「衝突状況」という図を見ますと,ほぼ正面からぶつかってるようにかかれていますね。
はい。もうちょっと実際は多分横,平行に近い形だったと思います。
これは,あなたがかかれた図面じやなくて,警察官がかいた図面。
…だと思います。
ちょっと記憶にないですね。
まあ,これを見ればそうですね。
そうですね,あなたがそもそも右折しようとして,ハンドルを更に右に切ったわけですよね。
(うなずく)
裁判官
今の車とバイクの「衝突状況」の図面に関しては,原本で見るとスタンプのように見えるんですが。
弁護人
かいたんじやなくて,スタンプを押したということですね。あなたが停止されていた時間は二,三分と言われましたね。
はい。
先ほどのアの地点に二,三分停止していたということでいいですか。
そうです。
それから,ハンドルを右に切っただけで,ブレーキはかけなかったと言われましたね。
はい。
そうですね。
ブレーキをかけるよりも,ハンドルを切るほうが衝突を回避するには有効ととっさに判断したわけですか。
まあ,瞬時のことなんでそこまで考えたかどうかは分からないですけど,はい。
あなたの原付が左側に倒れたと当初の取調べ段階からおっしゃつていますけれども,それは間違いないですか。
間違いないです。
あなたが事故に遭ったときに乗っておられたバイクというのは,事故後どうなったか御存じですか。
直後ですか。
レッカーで自宅のほうに運んでもらいました。
ちょっと時間までははっきりしないですけど,1時間か2時間ぐらいだったと思うんですけど。
自宅。
ええ,しばらく置いときましたけど。
弁護人証拠番号2を示す
はい。
そうですね。
これは,衝突した地点からこの位置まであなたが運ばれたんですか。
はい。
衝突して,あなたが道路わきに移動をさせたバイクの状況ということでよろしいですね。
はい。
これを見ますと,バイクの左側のほうにほとんど損傷の跡は見られませんね。あなたはこの写真を見て,どう思われますか。
いや,ちょっと,実物じやないとね。
正直記憶にないです,どこにきずついてたとか。
はい。
弁護人証拠番号3を示す
そうすると,これを逆方向から撮って…これも左側が上になっていますね。
ええ。
これでも,特にここがきずついてるという指摘できるような箇所は,少なくとも写真の上ではないですね。
この白い部分は何ですか,ちょっとはっきりしないんで分からないんですけどね。ステップのところの白い線がきずっぱく見えないでもないんですけど…ちょっとそれは分からないんですけどね。
左の,座席の一番下の部分ですね,そこに写っている白いライン,タイヤのすぐ上のところに白いラインが見えてるのがきずではないかと思われると。
はい。
あなた軌もしかするとこれは,白いラインがきずかもしれないと。
かもしれないと,今思っただけです。
そうです。
前部です。
左ひざが一番ひどかったです。
…ちょっと正直あんまり記憶にないんですけど,左ひざがひどかったのは覚えています。あと,そのほかもあったとは思うんです
けど,ちょっと具体的にどこだというのは。少なくとも起訴状では「左膝挫創,両下肢挫傷」…右足もけがをしたんですか。
したと思います。
当日です。
いえ,当日と,もう一回行ってます。
診断書は1回ですね,保険用に1回は出してもらいましたので。
少なくとも,あなたは左肩あるいは左腕を傷つけたという明確な記憶はないわけですね。
そうですね。
あなたは事故直後に,後で証言してもらうために停車中の車の運転手に声を掛けたそうですが,それは1人だけだったんですか。
はい。
いや,ほかにも止まっていましたけど,一番近い。
はい。
はい。
(以上 島田正子)