裁判所書記官印
(この調書は,第4回公判調書と一体となるものである。)
事件番号平成17年(わ)第413号
氏名 佐**政*
年齢 67歳(昭和13年*月*日生)
住居 横浜市中区海岸通*−**−*******−***
職業 無職
尋問及び供述
別紙速記録記載のとおり
以上
氏名 佐**政*
事件番号 平成17年(わ)第413号
証人氏名 佐**政*
検察官
はい。
その場所は横浜市中区本町5丁目49番地の交差点で間違いないですね。
間違いありません。
はい。
証人はこの日,自宅から勤務地のあるお台場へ向かったということですね。
はい。
そうです。
証人の自宅から桜木町駅に行くまでの間に本件交差点があるんですね。
そうです。
桜木町駅に行くためには,この交差点を渡る必要があったということですね。
はい。
午前8時ごろだと思います。
そうです。
結構多いです。
桜木町のほうに行くほうが多かったように思います。MM21のほうから来るのは,トラック2台か3台くらいじゃなかったかと思ってます。
完全な人身事故です。
証人は,この日は桜木町駅では何時何分の電車に乗る予定でしたか。
大体8時15分前後の電車です。
はい,そうです。
そうです。
10分足らずで行きます。
5分も掛からないと思います。
この交差点から桜木町駅までは,歩いて五,六分くらいということですか。
そうです。
証人は,急がなくても電車に十分間に合う時間だったわけですね。
そうです。
この日は途中でどこかコンビニなどに立ち寄る予定がありましたか。
ありません。
証人は,ふだんから時間に余裕を持って駅に向かっているということですか。
はい。
検察官証拠番号甲1添付の交通事故現場見取図の写しを示す
合同庁舎のほうから渡ろうとしていました。
合同庁舎のほうというのは,この図面で言うと上の左側の歩道と書いてあるところですね。
はい。
証人が渡ろうとしてた歩道というのは,この図面の左側の2本の点線,上から下に伸びる点線が2本ありますね。その点線で囲まれた横断歩道を渡ろうとしていたということですね。
はい。
証人はこの横断歩道をこの図面で言うと上から下に渡ろうとしていたということでよろしいですか。
そうです。
証人がこの交差点に着いたときに,歩行者用の信号を見ましたか。
見ました。
そのときに証人が見た歩行者用の信号というのは,この図面でどの信号ですか。
これです。
はい。
証人がこの交差点に着いたとき,このという信号の信号表示は何色でしたか。
初めは点滅してたので,友達がいたので,それを止めて,赤で止まって,青を確認して渡りました。
はい。
いえ,しません。
多分,晴れていたと思います。
2.0です。
はい。遠視の眼鏡です。
いえ,裸眼で。
かけてました。
少し落ちると思います。
見えます。
知人と一緒にいたというようなお話だったんですけれども,友人2人と一緒にいたということでよろしいですか。
そうです。
同じ公団の人間です。
この友人2人も,証人と同じように横断歩道を渡る予定だったということですか。
はい,そうです。
この友人2人は,信号が点滅しているときに渡ろうとしましたか。
はい。それを私が止めたんです。
もしこの2人が信号を走って渡ったとすれば,車が走り出す前に渡り切ることができたと思いますか。
無理だと思います。
証人は2人が渡ろうとしたのを止めたということなんですけれども,それはどういった理由でしょうか。
それは,点滅で渡るということは対向車のほうが急に入る可能性があるので,僕は止めたんです。
はい。
はい。
はい。
変わりました。
はい。
青色になって,証人はこの横断歩道を渡り始めたということですか。
はい。
いえ,僕は一瞬青を確認してから渡りますから,数秒あると思います。
青を確認してからというお話だったんですけれども,実際,青信号に変わってから証人が足を踏み出すまでには,どのくらいの時間的な間隔がありましたか。
コンマ何秒だと思いますが。
はい。あると思います。
はい。
先ほど言ったように,青になるということば反対側の車線のほうは黄色か赤に変わる瞬間だと思うので,必ず少し問をおいて渡ります。
赤に変わる瞬間だと,どうして問をおくことになるんでしょうか。
車が急に入ってくる可能性がありますから。
車が入ってくる可能性があって危ないから確認するということですか。
はい。
証人が見ていた信号が青になったときに,桜木町方面から元町方面に向けての車道の交差点手前の停止線,これは証人から見て右側になると思うんですが,その停止線付近に車は止まっていましたか。
はい。多分1台は僕は確認したんですけども,止まってました。
一緒に渡りました。
はい。
その友人2人は証人の右側にいたんですか,左側にいたんですか。
左側にいました。
一瞬下を見て,正面を見てました。
やっぱり縁石というのがありますので,一瞬下を見てから渡ります。
はい。
前から車が来るのに気付きました。
そうです。
証人はうつむき加減で下を見てたということをおっしゃったんですけど,前から来る被告人の車両に気付いたのは何か理由があるんですか。
いや,それはもう必然的に,下ばかり見て歩くわけにいきませんので,顔を上げたらもう来ていました。
はい。
被告人の車両は,証人に対してどのように向かってきたんですか。
左のほうから向かってきました。
左です。
左のほうから来ました。
そうです。斜めです。
はい,そうです。
フロント部分です。
証人のほうに被告人車両が進んできたのを見て,証人はどのようなことを思いましたか。
まず頑に浮かんだのほ,逃げなきゃいけないということですね。それで,逃げるときに一瞬左によけようと思ったんですけど,左は友達2人がいるのでまずいと思って,身を翻して歩道のほうへ逃げました。真後ろに。
はい。
まず,証人は被告人車両を最初に見たときに,歩道から何歩くらい歩いた状況でしたか。
3歩か4歩くらいだと思います。
それは歩道から車道側に3歩か4歩くらい歩いたということですね。
そうです。
そうすると,歩道の縁石の辺りから見て,どのくらいの距離を歩いたことになりますか。
1メートル50か2メートルくらいじゃないでしょうか。
そこまで歩くのに,歩き始めてからどのくらいの時間がたっていましたか。
時間は‥…,数秒じゃないでしょうか。
信号が変わった直後,証人が足を踏み出そうとした瞬間に,被告人の車が前に来たということはないですか。
それはありません。
先はど,被告人の車両を見て後ずさりしながら翻したということをおっしゃったんですけれども,それは間違いないですか。
間違いありません。
そうです。
反転して,元来た歩道のほうに体の前が向いてるわけですね。
はい。
そうです。
元いた歩道側に体の正面が向いた状況になったということですね。
はい。
いや,走った感じがしますね。
はい。
その体を反転させた地点から歩道まで,歩道のほうにたどり着くまで,何歩くらいかかりましたか。
それは二,三歩じゃないでしょうか。走ってるから。
証人は,被告人の車を発見したときに横に避けることもできたと思うんですけれども,それをしなかったのはなぜですか。
友達が左のほうに2人いましたから,左のほうによけたら友達を倒すことになりますからやめました。
それで,証人は二,三歩くらい歩道のほうに戻ったということなんですが,そこで何か起きましたか。
縁石に左足がつまづいてこけました。
はい,そうです。
歩道上です。
証人が転倒したのは,被告人車両にぷつかったからではないですか。
ではないです。
両手をついて,すねを打ちました,ひざですか。
片手にかばんを持ってまして,それで−一瞬両手をつきました。
はい。
それで,体の正面から前のめりに倒れるような状況になるということでよろしいですか。
はい。
左足のひざです。
はい。
そのときは,瞬間的には痛かったです。
証人は転んで両手をついて,体の正面を路面側にするように転んだということになりますね。
そうです。
瞬間的に,最後にはひざを抱えてました。
いえ,体を反転してしりもちをついた状態で,左足を抱えてました。
体を反転させたというのは,両手をついてうつぶせのような状態になってるところから,あおむけのような状態にいったんなったということですか。
あおむけというか,座った状態ですね。
そうです。
そうです。
やっぱり,痛いですから,かばうつもりで。
しばらくできませんでした。
証人が転倒したときに,一緒にいた知人2人はどうなりましたか。
隣で見てました。
ありません。
証人がしりもちをついた状況になったときに,ぷつけたひざは確認しましたか。
どういうことでしょうか。
ぶつけたひぎがどういう状況になっているのかということば見ましたか。
たしか‥‥,すぐ横に車が来ました。
いや,そのときズボンを上げて見たら,少し血が出てました。
はい。
そういうことです。大した血じゃありませんでしたけれども。
それはありません。
そのようなけがをしたことについて,証人に何か落ち度はあったと思いますか。
いや,私はあるとは思いません。
被告人は,この交差点に青信号で進入したと言っているんですけれども,被告人が言ってることは正しいと思いますか。
いや,それはあり得ないです。
その後のことなんですけれども,証人がしりもちをついているときに被告人の車はどこで停車しましたか。
右,すぐ横です。
はい,歩道に乗り上げて。
車から降りてきましたね。
ええ。僕は,どんな運転してんだ,と言ってどなったと思います。
被告人が車から降りてきたときは,証人はどのような体勢でしたか。
座ったままでひざを抱えてました。
はい。
証人が被告人に,どんな運転をしてるんだというような話をしたということですね。
はい。
いや,大丈夫ですかとか何とか言ったと思います。
被告人から大丈夫ですかというようなことを言われて,証人はそれに対してどのような答えをしましたか。
別に,それに対して私は答えませんでした。
証人はひざが痛かったと思うんですけど,ひざが痛いというようなことは被告人にほ伝えなかったですか。
そのときにはそんな伝えるような暇はありませんでした,痛くて。
証人はそのひざの痛みについては,病院に行かなければならないはどの痛みだと感じましたか。
いえ,そのときは,確かに激痛はあったんですけども,仕事の関係とかいろんなことがそのとき頭の中をよぎりまして,取りあえず大したことないだろうということで会社に行きました。
大したことはないだろうということでとおっしゃったんですけれども,大したことがないという言葉を被告人に言ったことはありますか。
いや,それはないと思いますね。
証人が,けがについて大したことがないと思ったということですね。
そうですね。というのは,僕ら,自衛隊とかで武道とか柔剣術とかいろいろあるんですが,そういうのでよく打撲症とかありますので,それで今まで治ってきたから,これも大したことないだろうということで。
今までのようにこれも放っておけば治るだろうと思ったということですか。
はい。
取りあえず,私の電話を彼に書いて,びっこ引きながら会社に行きました。
そのまま歩いて,取りあえず桜木町駅に向かったということですか。
はい,そうです。
それでびっこを引いてたというのは,ぶつけたひざが痛かったからということですか。
そういうことです。
大変でした。
乗れません。
そうです。
その後,証人は会社に行ったということですが,その日のうちにぶつけたひざの痛みが増したということばありませんか。
増しました。デスクに座って立ち上がろうと思ったら立ち上がれなかったです。それで野村さんに電話をしました。そうすると,すぐ保険証番号を知らすから病院に行くようにとかいうことば言ってました。
はい。
ええ,腫れてないかどうか確認しました。そしたら腫れてはいなかったから,ドライバーの方みんなに聞いたら,腫れてなければただの打撲症だよということで言ったので,僕はそう思ってそのまま。
ええ。僕はそのときはフジテレビに行ってたので,中継とかいろんなドライバーがいますから,その人に聞いたんです。
行きませんでした。
そういうことを聞いたら打撲で治るなと,僕の今までの経験でまあ大したことないということで,野村さんのほうにもやっばり保険使うと,彼は非常に紳士的に受け答えしてくれたので,少しでも負担を少なくと思って,僕はなるだけ行かなかったです。
はい。
紳士的とおっしゃったのは,その電話をした際の被告人の対応が紳士的だったということですか。
その現場でもそうだったです。
保険料が上がるというのはどういう意味でおっしゃっているんですか。
保険料が上がるというか,私が保険で使えば,みんなに聞くとやっぱりそれは保険がまた元に戻るよとか聞いてたから,そうかなと思って,なるだけ彼に負担かけないようにと思って,紳士的だったから。
はい,そうです。
その後,最初に病院に行ったのはいっごろだったか覚えてますか。
二十四,五日じゃなかったかと思います。6日から数えて,大体2週間後ですね。
本件が平成16年2月6日ということなので,この年の2月二十何日かということですか。
そうです。
そういうことです。
その日に病院に行こうと思ったことには理由がありますか。最初に病院に行った日なんですけれども。
それまでは,だんだん痛みがひどくなりまして,階段も上がれなくなりまして,これはただごとじゃないなと思ったのがその行ったときです。
ええ,感じてました。
左のひざですね。
最初に病院に行ったときにはどのように診断されたか覚えてますか。
いえ,それは覚えてません。ただ,骨に異常がありますかと聞いたら,骨には異常ないというようなことを言われたと思います。
本件の事故から最初に病院に行くまでの間に,会社を休んだことはありますか。
ありません。びっこ引きながら行ってました。
本件事故後に,左ひざをどこかにぷつけるようなことはありましたか。
ありません。
本件事故前に,左ひざにけがをして病院に行ったことはありますか。
ありません。
そうすると,今回の左ひざの痛みの原因は今回の事故であることは間違いないということですか。
間違いありません。
それから医者で湿布をもらいまして,1か月かそのくらいかかりました。
3回くらいです。
いえ,フジテレビの場合は普通のタイムカードがありませんので,前日に理由を言って遅れると言ったら,少々遅くても大丈夫なんで,行ってました。
今回の事故によって,証人自身の生活などに何か影響を受けたことはありますか。
ええ,やっぱりびっこ引いて痛かったから,ある程度はあります。
証人は病院に行ったということなんですけど,治療代はどうしたんですか。
自分で払いました。
ありません。
証人のほうから,示談をしようという話を被告人にしたこともありませんか。
ありません。
3回か4回くらいあると思いますが,その後は取ってません。
その連絡を取ったときに,証人はどのようなことを被告人に言われましたか。
やはり私のほうが赤で渡ったんだろうというようなことば言ってましたね。
あとは,裁判にかけるとか何とか言ってました。
今現在,証人は被告人に対してはどのような処罰を望んでいますか。
それは,法で決められたもので十分だと思います。
最初に証人は警察で取調べを受けてると思うんですけれども,そのときには,被告人の処罰についてどのようなことを言ったか覚えてますか。
たしか,そのときには,やっぱり彼にも家庭もあるだろうからというようなことを言ったと思います。
変わってません。
被告人は本件犯行を否認しているんですが,被告人に対してはどのようなことを思いますか。
否認する自体がおかしいんじゃないかと思いますけども。
被告人
青になって確認してからですから,1秒かそこらたってます。
やはり信号を一緒に渡りました。私の左側で。
そうです。
そうです。
その確認した時点というのは,歩き始めて歩道から何メートルくらいの距離でしょうか。
1.5から2メートルくらいになると思います。
発見というとどういうことでしょうか。
一瞬的に左へよけようと思ったんですけども,友達がいるので,翻して歩道のほうに逃げました,車に背を向けて。
左側というのは,体を反転させる前の状態で左側ということですね。
そうです。
私のね。
縁石で転んだということなんですけれども,そのときにお2人の友人はどこにいましたか。
僕の様にいました。
多分戻ってきたんだと思います。
いや,僕は転んでいるから左側になりますね。座ってすね抱えてたから。
当初横断歩道を渡ろうと向かってた方向の左側ですか,右側ですか。
方向の左側です。
左側ですね。
裁判官
左にいました。彼ら2人がいました。だから倒れたときは右になります。
あなたが転んでひざを抱えて座った状態になりますね。そのときのあなたの位置を基点にすると,友人というのはどの向きにいたんですか。
左にいました。
弁護人
あなたがひざを抱えて座ってたときは,どっちを向いてたんですか,桜木町のほうを向いてたのか。
いえ,桜木町のほうじゃないです。桜木町といったら右になりますから。
もう一度聞きます。ひざを抱えて座ってたのは車道を向いて座ってたんですか。
そうです。
はい。2人いました。
被告人
転倒された後で,私の車が停止したはずなんですけれども,停止した位置はどの辺りでしたか。
横断歩道に乗り上げて,歩道まで来ました。
私の車は車道上で止まらないで,横断歩道まで乗り上げて止まったということですか。
はい。私のすぐ横で止まりましたから。
はい。
もともと渡ろうとしていた道路の,見ていた信号に向かって,あなたの右側に車が来たということですね。
そうです。
その直後,あなたは私から大丈夫ですかと声をかけられましたか。
多分かけられたと思います。たしか,あのときあなたはサングラスをしていましたよね。それで出てきたときはもうサングラス外してたけど,そのときに僕は座ったままで,たしか,どんな運転してんだということを言ったと思います。
はい。
あなたはそのときに,私から事故状況の証言をしてはしいと依頼されましたか。
いや,されません。
私は,その2月6日当日,警察においてあなたの名前と住所を,この人が証言してくれるからということで警察に伝えてるんですね。私はなんであなたの名前を知り得たんですかね。
だって,あのときに私が書いたじゃないですか。あなたが手が震えて電話書けなかったから,僕があなたの手帳に電話書きましたよ。そのメモが残っているはずです。
それは私が事故状況の証言をしてはしいと依頼した結果として書いたものじゃないですか。
そうじゃなくて,すぐ病院行ってください,私の保険番号教えますとか何とか言って,だから非常に紳士的だなと思って,じゃあここに電話してくださいということで僕は書いたはずです。
あなたは,最初から病院に行く必要性を主張したということですか。
いえ,そうじゃなくて,僕はさっきも言ったように,あなたが紳士的だったから,あなたから名刺もらいましたよね,あとの2人も名刺くれましたよね。そのときに後で何かあったらということで,取りあえず電話書いたんです。
あなたは今,私が病院に行くことを勧めたということを言われたんですよ。
そうです。
私は多分,あなたが足が痛い若しくはけがをしているという状態を認めなければ,病院に行けとは言わないと思うんですけれども。
そういう発言はおかしいんじゃないですか。だって,転んで足が痛いと言ったら,それで病院行くななんて言う人いますか,常識で考えて。
そのときのけがの状態についてお聞きします。あなたは現場を離れるときにびっこを引きながら歩きましたか。
はい。
それは関節を打ったから痛かったからです。
あなたは先ほど,2月24日か25日あたりに病院に行ったということを言われましたが,それは何病院ですか。
*田病院です。
*田病院です。
ずっと*田病院です。
行ってません。
湿布をくれました。
一番初めは袋に入ったのを3袋くれて,それでなくなって,2回か3回行きました。湿布だけです。
あなたは先はどの証言の中で,私からは示談について積極的な話がなかったというふうに聞き取れたんですけれども,本当に私はそのことについて連絡しませんでしたか。
しません。示談というのは初めて聞きました。
ありません。
弁護人
横断歩道の信号,先はどのの信号が青になって渡り始めたときに,あなたの知人2人も同時に渡り始めたんですか。
そうです。横に一線に並んでましたから。
はい。
そういうことです。
歩き始めたときはうつむき加減であったけれども,しばらくして顔を上げて,すぐ被告人の車両が目に入ったんですか。
そうです。だれでも縁石を下りるときには。
要するに,うつむいてた顔を上げて,すぐ被告人の車両に気付いたということですね。
はい。
それは僕は気が付かなかったです。ただ,前を見たときに車が三角のほうに寄ってました。バイクかスクーターか,眼鏡かけたドライバーだったですけども。
僕は気が付きませんでしたね。横の2人は知ってたみたいです。
聞いてません。
ありません。
あなたが体を反転させて,後戻りというか歩道のほうに走り出したとき,ほかの2人がどういう行動を取ったのか,目に入りましたか。
いや,それも目に入りません。
ありません。間違いなくありません,左にいたから。車は右のほうに止まりましたから。
はい。
それは私が渡っている横断歩道の左のほうにいましたから。車は僕が気が付いたときは左のほうから斜めに入ってきましたので,彼は危険性はないと思います。目の前で僕は気が付きましたから。
あなたが横断してるその左側に友人2人が並んで歩いてた,そして車は。
もう僕の目の前にいましたから。
幅ありますね。
ええ。あそこ結構横断歩道が広いので,横になって渡ったから,ないと思いますよ。
裁判官
結果的に,後で止まった位置まで考えに入れてぶつかる可能性があったかどうかじゃなくて,そのときにほかの2人も含めて危ないというふうに感じたかどうかという質問であればどうですか。
それは,彼も感じたと思いますよ。
弁護人
もう一度聞きます。あなたのそのときの判断を聞いてるんですが,左側にいた2人には危険性はあったと思ったのか,なかったと思ったのか。
だから,その車に対しての危険性は,どうだったか分かんないけども,危険性はないんじゃないかと。真正面の僕のほうに来ましたからね。彼らは少し尊からは離れてると思います。だけども,やっぱり同じように僕のそばにいましたから,彼らはバックしてきたんだと思います,危険性を瞬間的に感じてね。
いや,2メートルもないでしょう。
いや,1メートル以上もないでしょう,乗用車だから。
ある程度の幅があるわけですけれども,それが左斜め前からあなたのほうに向かってきて,その左側にいた友人2人に危険性がないと。
だから,それは僕はそう感じた。
危険性がないとあなたが考えた根拠というのは,何かありますか。
僕が気が付いたのは,私が渡っている目の前に車が来ましたからね。
(以上森登志子
そうです。斜めに。
斜め。それで,フロントのボンネット辺りを見ました。そのときもやっばりサングラスかけたドライバーは知ってます。ですから,その横の人間がどうだったかというのは,私にはちょっと,まあ,危険だったと思いますけども。
ええ,と思いますよ。それは,同じ,横に並んで歩いてるんですから。
先ほど,危険性はなかったとおっしやるんで,念のために聞いてるんです。
僕はそれは,真正面に来たからね,僕が考えて,そういう危険性はないだろうと,ぶつかる危険性は。
いやいや,そのときでも。だって,僕の目の前に来てるのに。
危険性を感じたのか感じなかったのか,もう一度,あなたの判断としてね。
いや,私は…。
裁判官
まず,その瞬間に,ほかの人が危ないかどうかなんていうのは考えましたか。
考えません,それは。
弁護人
はい。
あなたが左側に反転させたとき,友人2人は,隣に,隣というか,進行方向に向かって左側にいたわけですね。
そうです。
ですから,あなたが左に反転すると,2人の様子は見えたんじゃないですか。
見えましたよ。彼らはかなり左にいましたから。
ええ。ぶつかるようなことはありません。
いや,そこまではちょっと分かりませんけども。
いえいえ,そんなには離れてません。
いやいや,それはちょっと分かりませんけども,とにかく反転したときに,ぶつかったことはなかったですから。
ないです。
あなたが反転させたときに,2人がどういう行動を取ろうとしていたのか,それも分からなかったということですか。
分かりません。
いや,叫び声上げたつもりはありません。
それも聞きません。
被告人の車が横断歩道に乗り上げた状態で止まったとおっしやつてますけども,その記憶は間違いないですか。
間違いありません。
あなたは,車がぶつかりそうになったとき,それを回避しようとして前に倒れたのではなくて,しりもちをついたんじやないですか。
いや,そうじやありません。縁石に左足を引っ掛けて,前につんのめったんです。
再度の確認になりますが,あなたが,信号が青になって渡り始める,歩き始めるまでに,1秒ぐらい間があったとおっしやいますね。
(うなずく)
間違いありません。僕はもう,今でもそうですけども,必ず青になったことを確かめてから足を1歩出しますから。必ず確認しますから。
だけど,青になったのを確認してと言いますけども,ずっと信号を見てるわけでしょう。
まあ,ずうっとは見てませんけど,青になったということで初めて,まあ,左足なり右足なり出しますので。
はい。
だから,赤から青になったという。これ確認と言わないんですか。
もちろんそうですよ。
いやいや,青になったというのを確認する。
僕も分かりません。
青になったのが目に入って,で,例えば信号無視する革もありますね。
はい。
だから,右側から車が来ないかどうかを確認してというんだったら分かるんですけどね。そうじやないんですね。
いや,車両はもう大体,まあ,青になって,確認,まあ,確認というか,したら,大体車も止まってますから,それで渡るんです。
じや,私が言うような意味で確認したというわけじやないんですね。
まあ,そう言ったらそうですね。
まあ,そうですね。
そうですねというと,右側から車が来ないかどうかを確認して…。
まあ,右側は見ませんけども,青になったらまず車は来ませんから,渡ります。
だから,念のためにもう一度聞きますけども,あなたの言う確認は,右側から赤信号で突っ込んでくる車がないことを確認した…。
もちろんそれもあります。
はい。
それで,あなたの答えは,最初は1メートルから1.5メートルぐらい渡ったところで気付いたとおっしやいました。で,私の記憶に間違いがなければ,先ほど,1.5メートルから2メートルとおっしやつたかと思うんですが,どちらのほうが近いと思いますか。
まあ,1.5メートルから2メートルぐらいじやないかと思います。
はい。
被告人から事故直後に大丈夫ですかと声をかけられたような気がするとおっしやいましたね。
(うなずく)
私がですか。
いや,私はズボン上げて,出血…まあ,血がにじんでいたという程度ですけども。
ええ,言わなかったですね。
いやいや,理由は何にもありませんけど,そこまで頭が回転しなかったというのが本音でしょう。ただ痛い,激痛ですから,打ったときは。
あなたが病院に行ったのは2月25日が最初だとおっしやいましたね。
はい。
その間約20日,19日たっているわけですが,痛みはだんだんひどくなったんですか。
そうです。初めは,階段なんかは,ぼつぼつ歩けてたんです。階段上り下り。それがだんだんできなくなって,手すりにつかまって,やっとこさ階段上がったり下りたりするような状態になったわけです。それで,これはただごとじやないと思って行ったのがそれです。
出血はもうすぐ。かすり傷みたいなもんだから。
その後,自分で湿布薬を買って,それをはるとかいうこともしなかったんですか。
それはありません。医者行くまでありません。
答えにくいかもしれませんが,だんだん痛くなっていったのか,あるいは,25日の直前になって急激に痛みが増したのか,どっちですか。
急激じゃありません。
はい。
検察官
1点だけ確認なんですけれども,証人がまず車が向かってくるのを見た後,証人は背中を車側に向けて体を反転させましたよね。
はい。
その体を反転させているという状況であれば,被告人車両は当然見えない状況になりますよね。
見えません。
で,その後に,証人がしりもちをついた状態でひざを抱えていたところに,被告人車両が来たのを見たということですね。
はい。
とすると,その間の被告人車両の動きというのは当然分からないということになりますよね。
はい,分かりません。
裁判官
そのひざの痛みについて行った病院は*田病院だけということで間違いないですか。
間違いありません。
この*田病院というところへは,このひざの件以外で,それまでに通っていたことはありますか。
ありません。僕は今まで病院行ったことはないんです。
それから,その事故の現場で被告人とした会話で覚えている内容というのは,先ほど来の証言で出ているほかに何かありますか。
いいえ,現場では余りありません。
(以上佐野智代美)
平成17年7月21日
横浜地方裁判所
裁判所速記官 森登志子
裁判所速記官 佐野智代美