[2742] 私見など
投稿者名: 山崎よしへら (ホームページ)
投稿日時: 2001年8月5日 15時11分
整理の一助に簡単な私見を。
まず、ネオシティの後藤さんが今回掲示板サービスの廃止を決めた原因が、当BBSでのトラブル、または当BBS主催者・今井亮一氏とのトラブルにあるという仮定のもと、今井氏を批判する書き込みが多くなされていますが、これを正しいとして話を進めましょう。
先月でしたか、後藤氏より今井氏など宛で当BBSを7月末日を以て削除する旨のメールが届いたわけですが、今井さんは「実際に削除するつもりなら訴訟(仮処分の申請ですけど)する」と後藤さんに宣告したわけですね。
これにビビッた後藤氏が「もう、こんな掲示板サービスなんかやめちゃえ」と決心したのが、今回のネオシティ廃業になったのだ、という構図ですが、以上の経緯を以て今井さんに批判が集中(?)しています。 本当に後藤さんがそのように思われているかどうかは知りませんが、そういうこととして話は進められているようです。
ですが、私にすれば、この仮定に立った場合、「掲示板サービスが今回なくなる原因」は誰にあるのかといえば、ネオシティ=後藤さんにあるとしか言えません。以下、縷々と述べていきますが、基本的には非常に簡単な話で、当HP=今井さんと、ネオシティ=後藤さんは「利用規約」をその具体的内容として「無料掲示板サービス」を正当に使わせる&正当に使うという契約を成立させているわけです。だけども、今井さんの後藤さんに対する抗議のもととなった、後藤さんによって行われた行為の数々、例えばイニP氏の削除依頼を丸飲みして記事4本を無断で削除したこと、それから当BBSを7月末で削除するとしたこと、これらはそれに全く反しており、それに対して今井氏が当BBSの削除を防ぐ手だては仮処分の申請以外にはほとんどありません。
この点、ネオシティが「無料」掲示板サービスだからということを引いて、「タダで使わせてもらってるんだからBBSをどう扱われようと甘受しろ」という意見もあるようですが、ネオシティの利用者は別にネオシティのお情けで掲示板システムを利用させてもらっているわけではありません。「利用規約」を媒介として、全く対等な法的人格として契約を結んでいるのです。この点、ネオシティは利用者の増大によって広告収入を期待できる立場にあります。まあ構造としてはテレビ局にも似ていますし、無料サービスということでいえば、YAHOO!その他とも似ています。
東照大権現さんの投稿中に、ネオシティはもともと好意の掲示板無料貸し出しから始まったが経費がかさんで広告を入れた旨ありましたが、沿革はどうあれネオシティと利用者との関係を考える場合には、ネオシティはれっきとした営利団体だったことは忘れてはなりません(だから悪いといっているのではありませんよ)。
重ねて言いますが、後藤さんはサービス提供者として当然守るべき義務を果たさず、利用者に対する権利侵害を行った、それは無料サービスだからといって免責される性質のものではない、ということです。 これに対して、今井さんは「当BBSを本当に削除するならば仮処分を打つ」と言ったわけですね。
大手プロバイダのBIGLOBEなどは、契約者の開設しているHPのコンテンツを「公序良俗に反する」といって勝手に削除しますが、このように通常は事業者側と利用者側の力関係は圧倒的に事業者側が強いものになっています。事業者側に気に入らないことがあれば、いつでも削除されるかもしれないという意味で。ネオシティと利用者の関係においてもそれは同様だと思いますが、今回は「後藤さんが可哀そう」の声に押されて、この構造が見えにくくなっているようです。そこから敷衍して、「利用者はサービスが気に入らないんだったら文句を言わず出ていくべきだ。他にいくらでも掲示板サービスなどあるのだから」という声があるようですが、こんなものは、対利用者関係において、ただでさえ圧倒的に強い力を持つ事業者側の横暴を何の疑問もなく受け入れる考え方です。民法上の借地借家関係において、法は借地人、借家人に強い法的保護を従来与えてきました。近時、学界の強い反対を押し切ってその保護を弱めた定期借地権制度などが導入されましたが、「利用者は文句があったら出ていけ」などという考え方には強い疑問があるわけです。その意味において、今井さんの「当BBSを削除するならば訴訟する」という態度は極めて正当なものだったと考えますがいかがでしょうか。
先にもちょっと触れましたが、例えばYAHOO!が掲示板の無料レンタルサービスをやっていたとして、今回と同様の経過を辿った挙げ句、YAHOO!から利用者に対して「○日までにBBSを削除します」と一方的な通告がなされた場合、利用者としてはYAHOO!に対して「そんなことをするな」と削除の中止を求め、聞き入れられなければ裁判に訴える、それは極めて正当な行為だと思うのですが、これがなぜ今回のネオシティ-今井さんのケースの場合には認められないのか、不思議でなりません。大手だろうと個人でやっているところだろうと、事の本質に違いはないと思うのですが。
話がそれました。後藤さんはやってはいけないことをやってしまい、それに対して今井さんは正当な手段をとったわけですが、「裁判するぞ」と言われたことで、後藤さんが”BBSレンタルサービスの運営”というものに嫌気がさし、今回の撤退を決めたのだとしたら、それは「それだけの覚悟しかないのだったら初めからレンタルサービスなんかおやりになるのではなかったですね。さぞやご苦労されたとは思うんですが。いきなりレンタルが停止されたら、利用者はみんな困ると思いますよ」としか、私は言えません。東照大権現さんの記事中に、「最初は無料で頑張っていたけれど経費がかさんで広告を入れた」というのがあったことは先にも書きましたが、それならばそのときにもう止めていればよかった。無理にやることはなかったのです。「こんなのはボランティアと同じ」などということは、正当なサービスを行わない理由になりません。世の中には、ボランティアをそういうものだと思っている方も多いようですが。
と、ここまで書いてきましたが、実際には私は上のような考え方をとりません。それは、現実には「BBS削除」の問題も、今井さんと後藤さんの間で事前にほぼ解決をみており(実査にBBSの削除もされませんでしたが)、後藤さんと今井さんとの間では、今回の記事無断削除というケースを踏まえて、今後のネオシティの運営方針について、今回の教訓を活かす方法などがかなり具体的に話されているところだったからです。率直に言って、こうした後藤さんの問題の事後処理についての振る舞いは、常人にはなかなかできることでなく(自らのミスを認め、そこから教訓を拾って今後に活かそうとしていたこと)、私個人としても傍から見て感じ入るところがありました。今井さんが「そういう見方は後藤さんに失礼」と書いたのはそのあたりの感想がもとになっているのではないかとも思いますが、今回の”廃業”についても、「今井からの裁判という脅しにビビッた」などという見方を私は採ることができません。もし後藤さんにその後の気持ちの変化などがあって、最初の仮定のような気持ちに至ったのだとすれば、やはり「最初から掲示板レンタルなどやるべきではなかったですね」ということになりますが…。
とまれ、後藤さんの本当の意図がわからないままの議論なので、まあ混乱しますねぇ。ただ、以上のとおり、今回の廃業について、今井さんの”脅迫”が原因だとは私は思いませんし、従って「2万人のネオシティ利用者が迷惑するぞ! 今井どうするんだ!」という声も「なんだかなぁ」としか思いません。もしそれほど今井さんのために損害を蒙るということであれば、今井さんに損害賠償でも請求してみるべきだと思いますよ。「俺はそういうことを言っているんじゃない。常識、道徳的に今井に責任があると言ってるんだ」という向きもあるようですが、それならば「利用規約」がどうとか、そういう法的な根拠をもとに道徳的な謝罪をせまるべきではありません。まあ、今回の過半の書き込みが、果たしてこの「謝罪をせまる」目的であるのかすら疑わしいのですが(いったい何を求めて今井氏を責めているのか読みとれないのです)。
とまれ、今回のさまざまなトラブルを通じて、後藤さんの真摯な態度を仄聞していた身からすれば、このような良心的な管理者が運営する掲示板サービスがなくなることは非常に残念です。お疲れさまでした。 |
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