飲酒運転クライシス

日本の警察は、政治的中立性を確保するだけでなく、民主的コントロールさえ受けつけようとしない。

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ちなみに警察庁に交通について質問の電話をしても、広報課にまわされ、立て板に水のような対応をされることがある。それ以前に問題なのは、広報課の職員が自分の名前さえ言えないことだ。

たったひとつだけ警察が〝聞く耳〟を持つ場合がある。それがパブリックコメントの募集である。

これは警察庁が内閣に法案をだす前に、〝民意を聞いた〟という実績づくりのために行われている。教育改革やその他○×会議で実施されるタウンミーティングと同じようなものである。

最近の道路交通法関係の規制/罰則強化に先立っておこなわれたパブリックコメントの結果 (主要なもの)

募集期間 概要 意見の集計結果
電子メール FAX 郵送 合計
H16.10.08~H16.11.08 放置違反金制度、所有者責任out 341 19 2 362
H1607.09~H16.08.09 運転中の携帯使用の罰則化などout 918 215 166 1,299
H15.12.27~H16.01.23 放置違反金制度、取締りの民間委託、呼気検査拒否の罰則強化、携帯通話の罰則化、集団暴走行為out 12,575 129 388 13,092
H15.06.06~H15.07.03 違法駐車に関する車両の使用者の責任の拡充out 430 132 68 630

どれもが法令案の発表からわずか1ヶ月という短い期間に限定されている。

しかしながら、一般の人たちが警察に意見できるのは、この期間だけである。

  改正前 2002年の厳罰化 今回の厳罰化案
酒酔い運転 2年以下の懲役
または
10万円以下の罰金
3年以下の懲役
または
50万円以下の罰金
5年以下の懲役
または
100万円以下の罰金





血中濃度
0.5
mg/ml超
3月以下の懲役
または
5万円以下の罰金
(6点の減点)
1年以下の懲役
または
30万円以下の罰金
(9点の減点)
3年以下の懲役
または
50万円以下の罰金
(9点の減点)
血中濃度
0.5
から
0.3
mg/ml
規定なし 1年以下の懲役
または
30万円以下の罰金
(6点の減点)
3年以下の懲役
または
50万円以下の罰金
(6点の減点)

平成18年12月
警察庁交通局

「道路交通法改正試案」に対する意見の募集について

警察庁では、最近の交通情勢にかんがみ、悪質・危険運転者対策、高齢運転者対策等、 被害軽減対策その他の交通事故防止対策の推進を図るほか、所要の規定を整備するため、 道路交通法(昭和35年法律第105号)の改正を検討しています。

その内容は、別紙のとおりですので、これらについてご意見のある方は、氏名(法人 又は団体の場合は、その名称及び代表者の氏名)及び連絡先(住所、電話番号又は電子 メールアドレス)を記載の上、日本語にて意見を提出してください(ただし、氏名及び 連絡先の記載は任意です。)。

意見提出先及び意見提出期間は次のとおりです。

 

意見提出先 電子メール koutsukyoku@npa.go.jp
※件名に「パブリックコメント」と必ず御記入ください。
郵送 〒100-8974 東京都千代田区霞が関2-1-2
警察庁交通局交通企画課法令係 パブリックコメント担当
FAX FAX 03-3593-2375 ※1枚目に「パブリックコメント」と必ず御記入ください。
意見提出期間 平成18年12月29日(金)から 平成19年1月28日(日)までの間(必着)

なお、御意見の提出に当たっては、次の事項をあらかじめ御承知下さい。

  1. 電話による御意見は受け付けておりません。
  2. 頂いた御意見に対しての個別の回答はいたしません。
  3. 意見提出者の氏名及び連絡先は、御意見の内容に不明な点があった場合の連絡以外 の用途では使用しません。
  4. 頂いた御意見の内容は、必要に応じ公表することがあります。

別紙

道路交通法改正試案

1 悪質・危険運転者対策の推進

(1) 飲酒運転に対する罰則の強化

飲酒運転の根絶を図るため、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転(酒酔い運転)した運転者に対する罰則及び身体に政令
で定める程度(現行は呼気1リットル中に0.15ミリグラム)以上にアルコールを保有する状態で車両を運転(酒気帯び運転)した運転者に対する罰則を以下のとおり
引き上げます。

また、酒酔い運転・酒気帯び運転の罰則引上げに伴い、薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転した場合の罰則についてもそれぞれ同様に引き上げることとします。

なお、これらの違反行為に関する下命・容認に対する罰則についてもそれぞれ同様に引き上げます。

01
【参考】

(2) 飲酒運転をするおそれのある者に対する車両提供等の禁止

飲酒運転を根絶するためには、運転者の周辺で飲酒運転を助長することとなるような行為が行われることを防止していく必要があります。

そこで、酒気を帯びていて飲酒運転をするおそれのある者に対して車両を提供した者についても、車両の提供を受けた者が飲酒運転をした場合には、飲酒運転をした者と同等の罰則を設けることとします。

また、同様に酒気を帯びて車両を運転するおそれのある者に対して酒類を提供して飲酒させた者についても、その飲酒した者が飲酒運転をした場合には、飲酒運転をした者と同等の罰則を設けることとします。

02
【参考】

(3) 酒気を帯びた者が運転する車両への同乗の禁止

あらかじめ運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者が飲酒運転する車両に同乗する行為について、一定の範囲内で罰則を設けることとします。
また、当該同乗した者が運転免許を受けた者である場合には、行政処分の対象とすることとします。

03
【参考】

同乗する行為のうちどのような行為を処罰の対象とするのかについては、今後検討してまいります。

(4) 救護義務違反に対する罰則の強化

ひき逃げ事件の発生を防止するため、車両の運転者が当該車両の交通による人の死傷があったにもかかわらず、当該死傷者の救護等を怠った場合の罰則を、現行の「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」から「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に引き上げます。

04
【参考】

(5) 欠格期間の延長

悪質・危険な運転者について長期間車両の運転ができないようにするため、酒酔い運転で死亡事故を起こしたり、救護義務に違反するなどの悪質な違反行為をして運転免許を取り消された場合の欠格期間(運転免許取消後、新たに運転免許を受けることのできない期間)の上限を、現行の「5年」から「10年」に引き上げます。

【参考】

(6) 飲酒検知拒否罪に対する罰則の強化

警察官から呼気検査を求められたにもかかわらず、これを拒否した運転者に対する罰則について、現行の「30万円以下の罰金」から「3月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に引き上げます。

【参考】

(7) 免許証提示義務に関する規定の見直し

警察官は、違反行為等を行った運転者に運転を継続させることができるかどうかを確認するために必要があると認めるときは、運転免許証の提示を求めることができることとし、提示に応じない者について罰則を設けることとします。

【参考】

2 高齢運転者対策等の推進

(1) 記憶力、判断力等の認知機能に関する検査の導入

高齢運転者に係る交通事故防止を図るため、75歳以上の高齢運転者に対しては、免許の更新の際に、運転に必要な記憶力、判断力等の認知機能に関する検査を行うこととし、その結果に基づいた高齢者講習を行うことによって、高齢運転者の安全運転継続を支援していきます。

また、当該検査の結果、認知症のおそれがあるという結果が出た者のうち、検査の前一定期間内に一定の違反行為を行っていた者又は検査の後に一定の違反行為を行った者については、専門医による臨時適性検査を受けなければならないこととします。

【参考】

(2) 高齢者講習受講期間の延長

免許更新に伴う高齢者講習を円滑に受講できるようにするため、高齢者講習を受講することができる期間について、現行の更新期間満了日前「3月以内」から「6月以内」に延長することとします。

(3) 高齢運転者標識の表示義務化

現在、高齢運転者の安全確保等の観点から、70歳以上の高齢運転者については、一定の場合に、高齢運転者標識を表示して運転するように努めなければならないこととされており、高齢運転者標識を表示した自動車に対して、幅寄せや割込みをした運転者は処罰されることとなっていますが、特に安全確保等を図る必要の高い75歳以上の高齢運転者については、高齢運転者標識の表示を義務付ける(表示義務違反について罰則を設ける)こととします。

【参考】

(4) 聴覚障害者の運転免許に関する規定の整備

現在は運転免許を取得することができない聴覚障害者について、ワイドミラーを 装着すること等を条件として普通自動車免許を取得することができることとするとともに、また、このような聴覚障害者が運転する際には、聴覚障害者標識の表示を義務付ける(表示義務違反について罰則を設ける)こととし、聴覚障害者標識を表示した自動車に対して幅寄せや割込みをした運転者は処罰されることとします。

【参考】

3 自転車利用者対策の推進

(1) 通行区分の明確化

現在、自転車は、車道通行が原則とされ、例外的に道路標識等で通行することが認められている場合に歩道を通行することができることとされていますが、必ずしもこれによらず、自転車の歩道通行が言わば無秩序になされている状況が見られます。

そこで、自転車の通行区分について、車道通行の原則を維持しつつ、道路標識等により普通自転車歩道通行可の規制がなされている場合のほか、児童(6歳以上13歳未満の者)・幼児(6歳未満の者)が普通自転車を運転する場合、車道を通行することが危険である場合等と、普通自転車が例外的に歩道を通行することができる場合の要件を法律で明確に定めることとします。

一方、歩道通行が認められる場合であっても、歩道における歩行者の安全を確保するため必要があると警察官等が判断した場合には、当該普通自転車の運転者に対して当該歩道を引き続き進行してはならない旨を指示することができる(指示に違反した場合には、処罰の対象となります。)こととします。

【参考】

(2) 児童・幼児のヘルメット着用の促進

自転車乗車中の事故における被害軽減を図るため、児童・幼児の保護者は、児童・幼児を自転車に乗車させる場合(児童・幼児に自転車を運転させる場合又は幼児を補助いすに同乗させる場合)には、児童・幼児にヘルメットを着用させるように努めなければならないこととします。

【参考】


* 自転車乗用中の交通事故について損傷部位別死者数を見ると、頭部の損傷が原因で死亡した者の数は577人(全体の約68%)に達しており、交通事故被害軽減のためには、頭部の保護が極めて重要となっています。

(3) 街頭活動の活性化

地域交通安全活動推進委員の活動内容に、自転車の適正な通行の方法について住民の理解を深めるための運動の推進を加えることとし、自転車に関する街頭活動に積極的に当たっていただくこととします。

【参考】


4 被害軽減対策の推進

現在、自動車の運転者は、他の者を後部座席に乗車させて自動車を運転するときは、その者に座席ベルトを装着させるように努めなければならないこととされていますが、事故発生時のシートベルトの被害軽減効果を踏まえ、自動車の運転者は、後部座席についても座席ベルトを装着していない者を乗車させて自動車を運転してはならないこととします。

【参考】

5 新たな駐車対策法制の施行状況を踏まえた違法駐車に関する規定等の見直し

(1) 指定車両移動保管機関制度の見直し

現在、指定車両移動保管機関に行わせることができることとされている違法駐車車両の移動及び保管に関する事務を会社その他の法人に委託することができることとし、指定車両移動保管機関制度を廃止することとします。

また、当該事務の受託法人の役職員又は役職員であった者に秘密保持義務を課す
こととします。

【参考】

(2) 移動保管した違法駐車車両の所有権帰属期間の短縮

保管した車両(売却代金を含む)を返還することができない場合における当該車両の所有権が都道府県に帰属するまでに要する期間を、所有者に対する告知又は所有者が判明しない場合の公示後、現行の「6月」から「3月」に短縮することとします。

また、警察署長が、保管した車両の所有者が判明しない場合の公示をしたときは、その公示の内容等をインターネットの利用その他の方法により公表することとします。

【参考】

(3) 報告徴収等の制度の新設

警察署長は、違法駐車車両の移動及び保管に係る制度の運用のため必要があるときは、保管した車両の使用者等の関係者に対して、必要な報告又は資料の提出を求めることができることとします。

また、警察署長は、同制度の運用のため必要があるときは、官庁、公共団体等に照会し、又は協力を求めることができることとします。

(4) パーキング・チケット発給設備に関する規定の見直し

公安委員会は、時間制限駐車区間においては、パーキング・メーター又はパーキング・チケット発給設備を選択的に設置することができることとします。

【参考】

6 安全運転管理者制度の対象の拡大

現在、250ccを超える自動二輪車を使用して運送事業等を行う貨物軽自動車運送事業者については、安全運転管理者及び運行管理者のいずれの選任義務も課されていないことから、一定の要件に該当する場合、安全運転管理者の選任を義務付けることとします。

【参考】

* 250ccを超える自動二輪車を使用する貨物軽自動車運送事業者として、いわゆるバイク便事業者があります。近年、その事業者数が増加しており、事業用の250ccを超える自動二輪車が第一当事者となる交通事故も増加していることから、その交通安全対策を強化するため、安全運転管理者の選任義務付けの対象を拡大することとします。

7 その他

その他所要の規定の整備を行うこととします。


資料1

06

資料2

飲酒運転の根絶について


平成18年9月15日
中央交通安全対策会議
交通対策本部決定

飲酒運転による死亡事故については、飲酒運転抑止に対する関係各位の取り組みと道路交通法の改正による飲酒運転の厳罰化等により、近年、減少傾向にあったが、今年に入り増加傾向に転ずるとともに、特に、最近になって、飲酒運転による死亡・重大事故が続発している。また、公務員の飲酒運転も頻発している。
このため、飲酒運転に対する国民の意識改革を進め、その根絶を図ることとし、下記の措置をとるものとする。


1 飲酒運転の根絶に向けた取り組みの強化

(1)国及び地方公共団体は、飲酒運転の根絶に向けた活動を一層強化し、次の事項について国民への周知徹底を図るものとする。

  1. 酒気を帯びては絶対に車両等を運転してはならないこと、また、同乗者は酒気を帯びた者に運転をさせないこと
  2. 酒気帯び運転の禁止に違反して運転するおそれがある者に酒類を提供し、または飲酒をすすめてはならないこと

また、所属職員に対し、他の模範となるよう安全運転の指導を強化するとともに、飲酒運転に対しては同乗者を含め厳正に対処するものとする。

(2)自動車運送事業者等に対し、関係団体等を通じて、飲酒運転の根絶について周知徹底を図る。また、酒類を提供する飲食店等に対し、関係団体等を通じて、運転者に対する酒類の提供の自粛とともに、飲酒運転をさせない取り組みについて協力を要請する。


(3)「飲酒運転の根絶」を平成18年秋の全国交通安全運動の運動重点とするとともに、引き続き「飲酒運転は絶対にしない、させない」という国民の意識改革を図るため、広報、啓発活動を強化するものとする。

2 飲酒運転に対する指導取締りの徹底等

飲酒運転に対する指導取締りを強化するとともに、同乗者、酒類の提供者に対しても徹底した責任追及を行うものとする。また、飲酒運転に対する制裁の更なる強化について検討する。

3 飲酒運転に対する車両技術開発の検討

飲酒運転防止に係る車両の技術開発状況を把握し、実用化に向けた技術的課題の解決を図るなど、その開発方策について検討する。


資料3

07

資料4

記憶力、判断力等の認知機能に関する検査の概要

1 本検査は、4つの設問に対し、受検者自身が回答用紙に記入するものであり、各設問に係る得点から導き出した総合得点に応じて、受検者を

に区分するものである。

2 4つの設問は次のとおりである。

○時間の見当識(検査時における年月日、曜日及び時間を回答させることにより、時間の感覚を検査するもの)

○手がかり再生(一定のイラストを記憶させ、時間をおき、手がかりを与えた上で回答させることにより、記憶力を検査するもの)

○時計の描画(時計の文字盤を描かせ、その文字盤に指定した時刻を表す針を描かせることにより、空間把握能力(物の位置関係を把握する能力)を検査するもの)

○言語の流暢性(特定のグループを総称する単語(例えば「動物」)を与え、そのグループに属する単語をできるだけ多く記載させることにより、記憶力を検査するもの)

3 本検査は、

ものである。

4 本検査は、認知症の専門医である東京都老人総合研究所参事研究員本間昭医師らが、 診断に用いる既存の医療検査を改良して作成したものである。作成に当たって、本検査の結果と医師の診断結果との相関関係が確認されており、一次的に記憶力、判断力等の低下の状況を見分けるための簡易な検査として信頼性を専門医が認めるものとなっている。


資料5

08
とまらない厳罰化 - 犯罪者をつくる警察