日本の警察は、政治的中立性を確保するだけでなく、民主的コントロールさえ受けつけようとしない。
ちなみに警察庁に交通について質問の電話をしても、広報課にまわされ、立て板に水のような対応をされることがある。それ以前に問題なのは、広報課の職員が自分の名前さえ言えないことだ。
たったひとつだけ警察が聞く耳≠持つ場合がある。それがパブリックコメントの募集である。
これは警察庁が内閣に法案をだす前に、民意を聞いた≠ニいう実績づくりのために行われている。教育改革やその他○×会議で実施されるタウンミーティングと同じようなものである。
最近の道路交通法関係の規制/罰則強化に先立っておこなわれたパブリックコメントの結果
(主要なもの)
どれもが法令案の発表からわずか1ヶ月という短い期間に限定されている。
しかしながら、一般の人たちが警察に意見できるのは、この期間だけである。
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改正前 |
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2002年の厳罰化 |
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今回の厳罰化案 |
酒酔い運転 |
2年以下の懲役
または
10万円以下の罰金 |
3年以下の懲役
または
50万円以下の罰金 |
5年以下の懲役
または
100万円以下の罰金 |
酒
気
帯
び
運
転 |
血中濃度
0.5
mg/ml超 |
3月以下の懲役
または
5万円以下の罰金
(6点の減点) |
1年以下の懲役
または
30万円以下の罰金
(9点の減点) |
3年以下の懲役
または
50万円以下の罰金
(9点の減点) |
血中濃度
0.5
0.3
mg/ml |
規定なし |
1年以下の懲役
または
30万円以下の罰金
(6点の減点) |
3年以下の懲役
または
50万円以下の罰金
(6点の減点) |
平成18年12月
警察庁交通局
「道路交通法改正試案」に対する意見の募集について
警察庁では、最近の交通情勢にかんがみ、悪質・危険運転者対策、高齢運転者対策等、
被害軽減対策その他の交通事故防止対策の推進を図るほか、所要の規定を整備するため、
道路交通法(昭和35年法律第105号)の改正を検討しています。
その内容は、別紙のとおりですので、これらについてご意見のある方は、氏名(法人
又は団体の場合は、その名称及び代表者の氏名)及び連絡先(住所、電話番号又は電子
メールアドレス)を記載の上、日本語にて意見を提出してください(ただし、氏名及び
連絡先の記載は任意です。)。
意見提出先及び意見提出期間は次のとおりです。
意見提出先 |
電子メール |
koutsukyoku@npa.go.jp
※件名に「パブリックコメント」と必ず御記入ください。 |
郵送 |
〒100−8974
東京都千代田区霞が関2−1−2
警察庁交通局交通企画課法令係
パブリックコメント担当 |
FAX |
FAX 03−3593−2375
※1枚目に「パブリックコメント」と必ず御記入ください。 |
意見提出期間 |
平成18年12月29日(金)から
平成19年1月28日(日)までの間(必着) |
なお、御意見の提出に当たっては、次の事項をあらかじめ御承知下さい。
- 電話による御意見は受け付けておりません。
- 頂いた御意見に対しての個別の回答はいたしません。
- 意見提出者の氏名及び連絡先は、御意見の内容に不明な点があった場合の連絡以外
の用途では使用しません。
- 頂いた御意見の内容は、必要に応じ公表することがあります。
別紙
道路交通法改正試案
1 悪質・危険運転者対策の推進
(1) 飲酒運転に対する罰則の強化
飲酒運転の根絶を図るため、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転(酒酔い運転)した運転者に対する罰則及び身体に政令
で定める程度(現行は呼気1リットル中に0.15ミリグラム)以上にアルコールを保有する状態で車両を運転(酒気帯び運転)した運転者に対する罰則を以下のとおり
引き上げます。
また、酒酔い運転・酒気帯び運転の罰則引上げに伴い、薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転した場合の罰則についてもそれぞれ同様に引き上げることとします。
なお、これらの違反行為に関する下命・容認に対する罰則についてもそれぞれ同様に引き上げます。
【参考】
- 平成17年中の飲酒運転による交通事故発生件数は13,875件、このうち死亡事故件数は707件となっていますまた。、酒酔い運転の取締件数は1,675件、酒気帯び運転の取締件数は139,
198件となっています。
- 飲酒運転による交通事故については、平成13年の道路交通法改正による飲酒運転に対する罰則の強化により減少を続けてきましたが、18年上半期の飲酒運転による死亡事故が前年同期に比べ増加したほか、8月には、福岡市で飲酒運転により幼児3名が死亡する事故が発生するなど、飲酒運転を原因とする悲惨な事故の発生が後を絶たない状況にあります(資料1参照)。
- 平成18年9月には「飲酒運転の根絶について」(交通対策本部決定、資料2参照)が決定され、政府を挙げて飲酒運転の根絶に向けた取組みを強化するとともに、飲酒運転に対する更なる制裁の強化について検討することとされました。
- 「下命・容認」とは、自動車の使用者等が、その者の業務に関し、自動車の運転者に対して違法行為をすることを命じたり、運転者が違法行為をすることを容認することをいいます。
(2) 飲酒運転をするおそれのある者に対する車両提供等の禁止
飲酒運転を根絶するためには、運転者の周辺で飲酒運転を助長することとなるような行為が行われることを防止していく必要があります。
そこで、酒気を帯びていて飲酒運転をするおそれのある者に対して車両を提供した者についても、車両の提供を受けた者が飲酒運転をした場合には、飲酒運転をした者と同等の罰則を設けることとします。
また、同様に酒気を帯びて車両を運転するおそれのある者に対して酒類を提供して飲酒させた者についても、その飲酒した者が飲酒運転をした場合には、飲酒運転をした者と同等の罰則を設けることとします。
【参考】
- 飲酒運転が行われる最大の要因は、運転者本人の遵法精神の欠如にありますが、他方で、運転者の周辺で車両や酒類を提供するなどして飲酒運転を助長し、容認しているかのような者がいることも飲酒運転が根絶されるに至らない背景にあるものと考えられます。
- これまで飲酒運転の教唆・幇助犯とされてきたもののうち、特に悪質な車両や酒類の提供について、道路交通法に禁止規定と罰則を設けるものです。
- 酒気を帯びている者に自分の車両を運転させた場合や、飲食店の店主が、車で来店した常連客がこれまで度々飲酒後に車を運転して帰っていることを知りながら、その注文に応じて当該常連客に酒類を提供して飲酒させた場合等が該当しますが、車両や酒類の提供を受けた運転者が実際に飲酒運転をした場合に、これらの提供をした者を罰則の対象とすることとします。
(3) 酒気を帯びた者が運転する車両への同乗の禁止
あらかじめ運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者が飲酒運転する車両に同乗する行為について、一定の範囲内で罰則を設けることとします。
また、当該同乗した者が運転免許を受けた者である場合には、行政処分の対象とすることとします。
【参考】
- 飲酒運転されている車両に同乗した者については、飲酒運転の幇助犯として処罰されることもあります。これに限らず、一般に、運転者が酒気を帯びていることを知っているにもかかわらず、あえて当該運転者が運転する車両に同乗する者は、飲酒運転を容認することで運転者の意を強め、また、運転者と行動を共にしているという点で運転者と同様の悪質性があると言えます。そこで、例えば、同じ宴会に参加していたなどにより、あらかじめ運転者が酒気を帯びていることを知っていながら当該運転者が運転する車両に同乗する行為について、道路交通法に禁止規定と罰則を設けるものです。
- 乗合バスやタクシーへの乗車のように、通常、運転者が酒気を帯びているか否か、乗車するまで判断することができない場合の同乗行為については、罰則の対象とはしません。
同乗する行為のうちどのような行為を処罰の対象とするのかについては、今後検討してまいります。
(4) 救護義務違反に対する罰則の強化
ひき逃げ事件の発生を防止するため、車両の運転者が当該車両の交通による人の死傷があったにもかかわらず、当該死傷者の救護等を怠った場合の罰則を、現行の「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」から「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に引き上げます。
【参考】
- 平成17年中のひき逃げ事件発生件数は19,660件であり、そのうち251件がひき逃げ死亡事故です(資料3参照)。
- ひき逃げ事件の発生件数は増加傾向が続いており、悲惨な結果を生じさせている事案も後を絶たず、ひき逃げ事件の発生防止対策を講ずることが急務となっていることから、救護義務違反の罰則を引き上げることとするものです。
(5) 欠格期間の延長
悪質・危険な運転者について長期間車両の運転ができないようにするため、酒酔い運転で死亡事故を起こしたり、救護義務に違反するなどの悪質な違反行為をして運転免許を取り消された場合の欠格期間(運転免許取消後、新たに運転免許を受けることのできない期間)の上限を、現行の「5年」から「10年」に引き上げます。
【参考】
- 現行法では、運転免許取消後の欠格期間は違反の内容により、1年以上5年以下となっていますが、酒酔い運転により死亡事故を起こして運転免許を取り消された運転者等について、欠格期間の上限をもっと長期に延ばすことを求める声が強くなっています。
- 危険運転致死傷罪、救護義務違反や酒酔い運転等の特定の違反行為を行ったことを原因として運転免許を取り消した場合については、欠格期間の上限を引き上げ、3年以上10年以下の範囲内で現在よりも長い欠格期間を定めることとします(具体的な期間については政令で定めることとします。)。
- (1)の飲酒運転に対する罰則の強化と併せて、政令で定めている酒気帯び運転等に対する行政処分の点数の引き上げも検討しています。
(6) 飲酒検知拒否罪に対する罰則の強化
警察官から呼気検査を求められたにもかかわらず、これを拒否した運転者に対する罰則について、現行の「30万円以下の罰金」から「3月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に引き上げます。
【参考】
- 道路交通法では、警察官は車両の運転者が酒気を帯びているなどの場合には、その運転者が正常な運転ができる状態になるまで運転を禁止するなどの応急措置をとることができることとされており、呼気検査は、この措置をとる必要があるかどうかを確認するために行うものです。
- (1)の飲酒運転に対する罰則の強化と併せて、飲酒検知拒否罪に対する罰則を引き上げるものです。
(7) 免許証提示義務に関する規定の見直し
警察官は、違反行為等を行った運転者に運転を継続させることができるかどうかを確認するために必要があると認めるときは、運転免許証の提示を求めることができることとし、提示に応じない者について罰則を設けることとします。
【参考】
- 近年の行政処分の強化により、運転免許を取り消される者の数が増加していますが、今回、飲酒運転対策の一つとして欠格期間の延長等行政処分を強化することから、運転免許を取り消された者がさらに増加し、これらの者による無免許運転が増加することも懸念されます。そこで、違反行為等を行った運転者について、そのまま運転を継続させてもよい者かどうかを確認することができるように、運転免許証の提示義務を見直すこととするものです。
2 高齢運転者対策等の推進
(1) 記憶力、判断力等の認知機能に関する検査の導入
高齢運転者に係る交通事故防止を図るため、75歳以上の高齢運転者に対しては、免許の更新の際に、運転に必要な記憶力、判断力等の認知機能に関する検査を行うこととし、その結果に基づいた高齢者講習を行うことによって、高齢運転者の安全運転継続を支援していきます。
また、当該検査の結果、認知症のおそれがあるという結果が出た者のうち、検査の前一定期間内に一定の違反行為を行っていた者又は検査の後に一定の違反行為を行った者については、専門医による臨時適性検査を受けなければならないこととします。
【参考】
- 75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数については、免許保有者10万人当たりでは19件と、74歳以下(7件)の2.7倍となっています。一方、75歳以上の高齢免許保有者数は、平成17年に約237万人と、7年(約81万人)に比べ2.9倍となっており、高齢化の進展に伴い、今後更に増加が見込まれ、22年には324万人に達するものと推計されています。
- 75歳以上の高齢運転者について、記憶力、判断力等の認知機能の低下による運転行動の特徴を調査した結果では、これらの機能の低下した者は、そうでない者と比べて信号無視や一時不停止、不適切な運転操作による蛇行等の危険な運転行動をとる割合が多くなっており、75歳以上の運転者による交通事故の特徴として、出会い頭の事故や一時不停止による事故、正面衝突や道路の通行区分違反による事故等の割合が高いことと照らし合わせると、記憶力、判断力等の認知機能の低下が事故の発生に影響を及ぼしていると考えられます。認知症の有病率に係る推計では、65歳から74歳までの2%弱に対し、75歳から84歳までは約7%と3倍以上(85歳以上では約25%)となっていることも踏まえ、75歳以上の高齢運転者について、記憶力、判断力等の認知機能に関する検査(資料4参照)を行うこととするものです。
- 検査の結果、記憶力、判断力等の認知機能に衰えが見られる高齢運転者に対しては、その状況を自覚していただいた上で、高齢者講習においてその状況を踏まえた安全運転の方法について講習を実施し、高齢運転者が安全に自動車等を運転することを支援していきます。
- 運転者について、臨時適性検査の結果、認知症であると医師が診断した場合には、公安委員会はその者の免許の取消し又は効力の停止を行うこととされています。
- なお、75歳以上の高齢運転者が免許の失効後6月以内に免許を受けようとする場合も同様とします。
- 2(1)、(3)の改正は、運転免許制度に関する懇談会が平成18年11月に取りまとめた「高齢運転者に係る記憶力、判断力等に関する検査の導入等についての提言」を踏まえて行うものです。
(2) 高齢者講習受講期間の延長
免許更新に伴う高齢者講習を円滑に受講できるようにするため、高齢者講習を受講することができる期間について、現行の更新期間満了日前「3月以内」から「6月以内」に延長することとします。
(3) 高齢運転者標識の表示義務化
現在、高齢運転者の安全確保等の観点から、70歳以上の高齢運転者については、一定の場合に、高齢運転者標識を表示して運転するように努めなければならないこととされており、高齢運転者標識を表示した自動車に対して、幅寄せや割込みをした運転者は処罰されることとなっていますが、特に安全確保等を図る必要の高い75歳以上の高齢運転者については、高齢運転者標識の表示を義務付ける(表示義務違反について罰則を設ける)こととします。
【参考】
- 高齢運転者に対して慎重な運転を求めるとともに、周囲の運転者に対して高齢運転者に対する保護義務を課すことによって、高齢運転者に係る交通事故を防止するため、現在、70歳以上の高齢運転者については、加齢に伴って生ずる身体の機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがある場合に、高齢運転者標識を表示して運転するよう努めなければならないこととされています。
- 警察庁が行ったアンケート調査による表示率と、平成17年中の交通死亡事故当事者の表示割合を比較すると、高齢運転者標識を表示することには一定の事故抑止効果があると考えられます。
○ 高齢運転者標識の表示割合(平成18年1月警察庁実施のアンケート調査結果)
70歳以上:22.6%
75歳以上:35.3%
○ 平成17年中の交通死亡事故当事者となった高齢運転者のうち高齢運転者標識を表示していた者の割合
70歳以上の第1当事者:18.6%、第2当事者:15.3%
75歳以上の第1当事者:26.4%、第2当事者:17.9%
- 70歳から74歳までの高齢運転者については、現行どおり努力義務を課すこととします。
(4) 聴覚障害者の運転免許に関する規定の整備
現在は運転免許を取得することができない聴覚障害者について、ワイドミラーを
装着すること等を条件として普通自動車免許を取得することができることとするとともに、また、このような聴覚障害者が運転する際には、聴覚障害者標識の表示を義務付ける(表示義務違反について罰則を設ける)こととし、聴覚障害者標識を表示した自動車に対して幅寄せや割込みをした運転者は処罰されることとします。
【参考】
- 現在、運転免許試験の適性試験では、10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こ
えることが聴力(補聴器により補われた聴力を含む)の合格基準とされています。警察庁が
実施した調査研究において、この合格基準を満たさない聴覚障害者についても、ワイドミラ
ーを活用して慎重に運転することにより、自動車を安全に運転できることが確認されたもの
です。
- 聴覚障害者は、交通状況の確認をすべて視覚により行うために、危険の発見が遅れるおそ
れがあることから、交通事故を防止するため、周囲の運転者に聴覚障害者であることを知ら
せる聴覚障害者標識の表示を義務付けることとします。
3 自転車利用者対策の推進
(1) 通行区分の明確化
現在、自転車は、車道通行が原則とされ、例外的に道路標識等で通行することが認められている場合に歩道を通行することができることとされていますが、必ずしもこれによらず、自転車の歩道通行が言わば無秩序になされている状況が見られます。
そこで、自転車の通行区分について、車道通行の原則を維持しつつ、道路標識等により普通自転車歩道通行可の規制がなされている場合のほか、児童(6歳以上13歳未満の者)・幼児(6歳未満の者)が普通自転車を運転する場合、車道を通行することが危険である場合等と、普通自転車が例外的に歩道を通行することができる場合の要件を法律で明確に定めることとします。
一方、歩道通行が認められる場合であっても、歩道における歩行者の安全を確保するため必要があると警察官等が判断した場合には、当該普通自転車の運転者に対して当該歩道を引き続き進行してはならない旨を指示することができる(指示に違反した場合には、処罰の対象となります。)こととします。
【参考】
- 平成17年中の自転車乗用中死者数は846人(前年比1.5%減)で年々減少していますが、自転車乗用中死傷者数については約185,000人であり、7年中(約138,000人)に比べ約1.3倍に増加しています。
- 自転車道や車道における自転車の通行スペースが十分でない中で、自転車が多様な利用者層に多様な用途・目的で利用されている現状においては、道路標識等により普通自転車歩道通行可の規制が行われていない場合であっても、児童・幼児が普通自転車を運転する場合や車道を通行することが危険である場合など、歩道通行をせざるを得ない場合があると考えられ、こうした歩道通行できる場合を法律で明らかにしようとするものです。その上で、警察では、自転車の通行に関する無秩序な状態を改めるため、歩道通行要件を満たしていない場合や自転車本来の走行性能を発揮した走行を行う場合には原則どおり車道を通行するよう、交通安全教育や街頭指導を強化していくこととしています。
- 3(1)〜(3)の改正は、自転車対策検討懇談会が平成18年11月に取りまとめた「自転車の安全利用の促進に関する提言」を踏まえ行うものであり、警察では、同提言を受けて、利用目的・利用主体に応じた通行空間の確保、自転車と歩行者・自動車の適切な共存を図るための自転車の走行環境と実効性のあるルールの整備、自転車利用者に対する交通ルール・マナーの遵守の徹底等自転車の安全利用促進のための総合的対策を推進していくこととしています。
(2) 児童・幼児のヘルメット着用の促進
自転車乗車中の事故における被害軽減を図るため、児童・幼児の保護者は、児童・幼児を自転車に乗車させる場合(児童・幼児に自転車を運転させる場合又は幼児を補助いすに同乗させる場合)には、児童・幼児にヘルメットを着用させるように努めなければならないこととします。
【参考】
* 自転車乗用中の交通事故について損傷部位別死者数を見ると、頭部の損傷が原因で死亡した者の数は577人(全体の約68%)に達しており、交通事故被害軽減のためには、頭部の保護が極めて重要となっています。
(3) 街頭活動の活性化
地域交通安全活動推進委員の活動内容に、自転車の適正な通行の方法について住民の理解を深めるための運動の推進を加えることとし、自転車に関する街頭活動に積極的に当たっていただくこととします。
【参考】
- 地域交通安全活動推進委員とは、公安委員会の委嘱を受けて交通安全教育等の地域における交通の安全と円滑に資するための活動に従事する方々です。自転車の適正な通行を確保するため、地域交通安全活動推進委員に警察と連携して自転車に係る街頭活動を行っていただくこととするものです。
4 被害軽減対策の推進
現在、自動車の運転者は、他の者を後部座席に乗車させて自動車を運転するときは、その者に座席ベルトを装着させるように努めなければならないこととされていますが、事故発生時のシートベルトの被害軽減効果を踏まえ、自動車の運転者は、後部座席についても座席ベルトを装着していない者を乗車させて自動車を運転してはならないこととします。
【参考】
- 平成18年10月現在におけるシートベルトの着用率は、運転席では一般道路で93.8%、高速道路で98.2%、助手席では一般道路で83.4%、高速道路で93.0%であるのに対し、後部座席では一般道路で7.5%、高速道路で12.7%と極めて低調な状況にあります(警察庁と(社)日本自動車連盟(JAF)が合同で実施したシートベルト着用状況全国調査結果。資料5参照)。
- 平成17年中の後部座席同乗者の死者244人のうち、シートベルト着用者は25人、非着用者は213人となっており、後部座席における非着用者の致死率(0.42%)は着用者の致死率(0.
11%)の約4倍となっています。
- (独)自動車事故対策機構による実験・解析によれば、後部座席同乗者がシートベルト非着用の場合、後部座席同乗者の頭部重傷確率は95.4%(シートベルト着用の場合は9.6%)、当該後席同乗者が前席へ衝突することによる前席乗員の頭部重傷確率は30.8%(シートベルト着用の場合は0.6%)と非常に高くなるという結果が確認されています。
- 運転席や助手席の場合と同様、違反に対する罰則は設けず、行政処分の点数を付することとしますが、当面は高速道路で違反した場合にのみ付することを検討しています。
5 新たな駐車対策法制の施行状況を踏まえた違法駐車に関する規定等の見直し
(1) 指定車両移動保管機関制度の見直し
現在、指定車両移動保管機関に行わせることができることとされている違法駐車車両の移動及び保管に関する事務を会社その他の法人に委託することができることとし、指定車両移動保管機関制度を廃止することとします。
また、当該事務の受託法人の役職員又は役職員であった者に秘密保持義務を課す
こととします。
【参考】
- 平成16年の道路交通法改正による新たな駐車対策法制の導入等により、駐車秩序の大幅な改善が見られ、レッカー移動しなければならない違法駐車車両は減少していることから、指定車両移動保管機関制度を維持する必要性がなくなってきています。
- 当該事務については、現行の指定車両移動保管機関制度と同様、移動の可否の判断の権限を警察署長に留保することとし、また、保管車両の売却及び廃棄、移動保管に係る負担金の納付命令、滞納処分等については、委託の対象とはしないこととします。
(2) 移動保管した違法駐車車両の所有権帰属期間の短縮
保管した車両(売却代金を含む)を返還することができない場合における当該車両の所有権が都道府県に帰属するまでに要する期間を、所有者に対する告知又は所有者が判明しない場合の公示後、現行の「6月」から「3月」に短縮することとします。
また、警察署長が、保管した車両の所有者が判明しない場合の公示をしたときは、その公示の内容等をインターネットの利用その他の方法により公表することとします。
【参考】
- 平成17年8月中に移動保管した違法駐車車両について見ると、保管開始後3か月以内に99.76%が返還されている一方で、3か月から6か月までに返還されているのは0.01%に過ぎない状況にあります。
- 平成18年6月に民法が改正され、遺失物の拾得者が所有権を取得するまでの期間についても6か月から3か月に短縮されています。
(3) 報告徴収等の制度の新設
警察署長は、違法駐車車両の移動及び保管に係る制度の運用のため必要があるときは、保管した車両の使用者等の関係者に対して、必要な報告又は資料の提出を求めることができることとします。
また、警察署長は、同制度の運用のため必要があるときは、官庁、公共団体等に照会し、又は協力を求めることができることとします。
(4) パーキング・チケット発給設備に関する規定の見直し
公安委員会は、時間制限駐車区間においては、パーキング・メーター又はパーキング・チケット発給設備を選択的に設置することができることとします。
【参考】
- 現在は、原則としてパーキング・メーターを設置することとされており、パーキング・チケット発給設備の設置については、パーキング・メーターを設置することが適当でない場合にのみ認められています。
- 平成16 年の道路交通法改正によって駐車秩序の改善が見られる一方、依然として残る短時間駐車需要に対応するため、多様な車種について柔軟で効率的な時間制限駐車区間の規制を実施できるパーキング・チケット発給設備をパーキング・メーターと同等に設置できることとします。
6 安全運転管理者制度の対象の拡大
現在、250ccを超える自動二輪車を使用して運送事業等を行う貨物軽自動車運送事業者については、安全運転管理者及び運行管理者のいずれの選任義務も課されていないことから、一定の要件に該当する場合、安全運転管理者の選任を義務付けることとします。
【参考】
* 250ccを超える自動二輪車を使用する貨物軽自動車運送事業者として、いわゆるバイク便事業者があります。近年、その事業者数が増加しており、事業用の250ccを超える自動二輪車が第一当事者となる交通事故も増加していることから、その交通安全対策を強化するため、安全運転管理者の選任義務付けの対象を拡大することとします。
7 その他
その他所要の規定の整備を行うこととします。
資料1
資料2
飲酒運転の根絶について
平成18年9月15日
中央交通安全対策会議
交通対策本部決定
飲酒運転による死亡事故については、飲酒運転抑止に対する関係各位の取り組みと道路交通法の改正による飲酒運転の厳罰化等により、近年、減少傾向にあったが、今年に入り増加傾向に転ずるとともに、特に、最近になって、飲酒運転による死亡・重大事故が続発している。また、公務員の飲酒運転も頻発している。
このため、飲酒運転に対する国民の意識改革を進め、その根絶を図ることとし、下記の措置をとるものとする。
記
1 飲酒運転の根絶に向けた取り組みの強化
(1)国及び地方公共団体は、飲酒運転の根絶に向けた活動を一層強化し、次の事項について国民への周知徹底を図るものとする。
- 酒気を帯びては絶対に車両等を運転してはならないこと、また、同乗者は酒気を帯びた者に運転をさせないこと
- 酒気帯び運転の禁止に違反して運転するおそれがある者に酒類を提供し、または飲酒をすすめてはならないこと
また、所属職員に対し、他の模範となるよう安全運転の指導を強化するとともに、飲酒運転に対しては同乗者を含め厳正に対処するものとする。
(2)自動車運送事業者等に対し、関係団体等を通じて、飲酒運転の根絶について周知徹底を図る。また、酒類を提供する飲食店等に対し、関係団体等を通じて、運転者に対する酒類の提供の自粛とともに、飲酒運転をさせない取り組みについて協力を要請する。
(3)「飲酒運転の根絶」を平成18年秋の全国交通安全運動の運動重点とするとともに、引き続き「飲酒運転は絶対にしない、させない」という国民の意識改革を図るため、広報、啓発活動を強化するものとする。
2 飲酒運転に対する指導取締りの徹底等
飲酒運転に対する指導取締りを強化するとともに、同乗者、酒類の提供者に対しても徹底した責任追及を行うものとする。また、飲酒運転に対する制裁の更なる強化について検討する。
3 飲酒運転に対する車両技術開発の検討
飲酒運転防止に係る車両の技術開発状況を把握し、実用化に向けた技術的課題の解決を図るなど、その開発方策について検討する。
資料3
資料4
記憶力、判断力等の認知機能に関する検査の概要
1 本検査は、4つの設問に対し、受検者自身が回答用紙に記入するものであり、各設問に係る得点から導き出した総合得点に応じて、受検者を
- 認知症のおそれがある者
- 認知症に至らない程度に記憶力、判断力等が低下しているおそれがある者
- 記憶力、判断力等が低下しているおそれがない者
に区分するものである。
2 4つの設問は次のとおりである。
○時間の見当識(検査時における年月日、曜日及び時間を回答させることにより、時間の感覚を検査するもの)
○手がかり再生(一定のイラストを記憶させ、時間をおき、手がかりを与えた上で回答させることにより、記憶力を検査するもの)
○時計の描画(時計の文字盤を描かせ、その文字盤に指定した時刻を表す針を描かせることにより、空間把握能力(物の位置関係を把握する能力)を検査するもの)
○言語の流暢性(特定のグループを総称する単語(例えば「動物」)を与え、そのグループに属する単語をできるだけ多く記載させることにより、記憶力を検査するもの)
3 本検査は、
- 20分程度で実施できる
- 検査を実施する者は、医師等の専門的知見を備えたものである必要はない
- 検査を実施する者1名が、複数名の受検者に対して実施することができる
ものである。
4 本検査は、認知症の専門医である東京都老人総合研究所参事研究員本間昭医師らが、
診断に用いる既存の医療検査を改良して作成したものである。作成に当たって、本検査の結果と医師の診断結果との相関関係が確認されており、一次的に記憶力、判断力等の低下の状況を見分けるための簡易な検査として信頼性を専門医が認めるものとなっている。
資料5