実現の可能性はともかく、いくつかの特殊法人については改革への打診が始まった。しかし同じように“天下り”が批判されている社団法人・財団法人などの公益法人に対しては、具体的なアクションはない。そして交通安全協会は日本で最大規模の公益法人だ。
なお、交通安全協会では、1998年に全国的な不正経理が公となり、その後も各地の交通安全協会でさまざまな不正が発覚している。
交通安全協会の専務理事と経理部長による横領 2003年2月、元松本署長で元県交通安全協会連合会専務理事、土屋仁(64)と同市川中島町今里、元県警厚生課長で元同連合会経理部長、赤羽兼雄(68)の2容疑者が業務上横領容疑で逮捕された。 2人は00年4月、同連合会会長名義の銀行口座から3回に分け計685万円を払い戻し横領した疑い。横領した金は自宅の改修などに流用されたとみられている。土屋容疑者は98年から01年9月まで専務理事、赤羽容疑者は94年から01年5月まで経理部長を務めていた。 同連合会は県警が所管する公益法人で、職員の多くが県警OB。昨年春、長野税務署の税務調査で「帳簿に不明朗な点がある」と指摘され、県警が調べていた。 |
交通安全協会の総務課長 2億3000万円を着服 2002年6月、福井県交通安全協会の収入証紙販売など収益事業積立金のうち2億3000万円余りが使途不明となり、会計を担当する前総務課長(66)で元県警厚生課長が着服を認めた。(県警は、着服されたうち約600万円分だけを業務上横領の容疑とした) 同協会の運営は、免許更新時に県の収入証紙を販売することで得る手数料、運転免許証明写真の撮影料、同県運転者教育センターの食堂などの収益事業の利益、ドライバーから任意徴収する年500円の会費、免許講習など県からの委託事業収入の三つが大きな柱。うち年会費は下部組織にほぼ全額が回り、収益事業積立金は職員の退職金などに充てられていた。 |
交通安全協会: 7年間に4億7千万円所得隠し 2002年3月、警察庁所管の財団法人「全日本交通安全協会」が東京国税局の税務調査をによって、7年間に計約4億7000万円の所得隠しを指摘され、重加算税も含め約1億円が追徴された。 関係者によると、同協会は運転免許取得の講習などに使われるテキストを編集する際、専門家に監修料を支払ったようにみせかけて、架空経費を計上し、金をプールしていたという。プールした金は懇親会の資金に充てていたという。 |
交通安全協会の全国的不正経理 1998年6月、警察庁は26府県の交通安全協会で1997年3月までの3年間に申告漏れや無申告など税務上の問題があったことを発表した。千葉県交通安全協会連合会が約1億円の申告漏れを指摘された問題を受けて、全国の交通安全協会が税務処理を再点検して判明した。申告漏れなどの総額は9億円前後とみられ、追徴税額は約2億5000万円に上った。 警察庁発表によると、修正申告したのは福岡(追徴税額7120万円)、大阪(同3280万円)、京都(同1160万円)、宮城(同710万円)、山口(同30万円)――など17法人(追徴税額は計2億1130万円)。このほか5法人が国税当局から(同計2740万円)更正処分を受けた)。 |
ドライバーに交通安全を啓蒙することを主な目的としてきた交通安全協会を評価するためには、平均的なドライバーの安全意識がどうなのかをみればよいだろう。一例として、欧米諸国から日本に帰ってきた人々の多くが日本のドライバーにため息をつく現状は、交通安全協会のお仕事に「効果」がほとんどないことを示しているのではないだろうか。