監察ホットラインの現実
警察署には苦情処理システムが存在しない
速度取締りの取材中の筆者は、取締りの警察官らに公務執行妨害を盾にした恫喝を受けた。しかし、このことを問題提起したとしても、ニッポンの警察官が素直に認めるとは思えない。かといって、法の執行部隊である警察署には、警察官への苦情を受け付けるシステムは存在しない。そうして、現場の警察官に対する苦情は、警察本部に持ち込まれることになる。後述する監察官室職員が言うには、監察ホットラインは既に機能していないそうなので、広報課(神奈川では広報県民課)の相談センターが唯一の窓口となる。この広報課による相談センターのシステムは全国一律だ。広報課の職員は話しは聞く。しかし、苦情の内容は、そのまま苦情対象の警察署に連絡されるだけだ。つまり、差し戻しである。
警察本部の苦情処理システム
後述する神奈川県警の監察官室職員の話しによると、「神奈川県警に対する苦情窓口」は次のような位置づけになっている。
このように、神奈川県警の「監察ホットライン」は、広報課(広報県民課)が運営する相談センターの下位に位置づけられているのである。
ちなみに、現在すべての都道府県警察に設置されている相談センターは、明治時代に警察批判を沈静化するために「開かれた警察」をアピールするために設置されたモノであり、 当時から聞くだけで何もしない窓口であったと伝えられている。
リコール隠しvs警察の組織的証拠隠滅
警察が不正経理を一部認めた後に発覚した大量の文書廃棄は、組織的な証拠隠滅といわれても仕方のないありさまだ。その直後、神奈川県警は、異例の道路運送車両法違反で三菱自動車の元幹部を逮捕した。その後のマスコミ一丸となった「三菱たたき」は数ヶ月続いている。
“手柄”をあげた神奈川県警は、東京新聞の取材に対し、次のようなコメントを残した。
――捜査当局として、三菱という企業体質をどう見ているか。
隠ぺい体質。車を造るというのは、人の命を預かること。なのに欠陥を放置し続けたことは、看過できない。非常に怒りを感じる。
東京新聞 2004.06.11 |
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